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| 2004/3/23 |
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『ニシノユキヒコの恋と冒険』
著 者:川上弘美 出版社:新潮社
発行日:2003年11月 本体価格:1,400円
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ニシノユキヒコになりたかった。いや、この表現では私の真意が伝わらない可能性が高い。もっと具体的に表現すると女性と自然につきあえるようになりたかった。
本書に登場してくるニシノユキヒコは女性を惹きつける魅力があり、その事を本人も自覚しています。しかし、心の底から相手を愛することが出来ず悩んでいるのです。本書は短編集なので一編ごとに違う女性が登場し、その女性とニシノユキヒコとの関係性が描かれています。詳細や結末はネタバレになりますし、みなさんにも読んでいただきたいので割愛させていただきます。
私は読みながらニシノユキヒコの世界に入りこみつつ、自分の体験を思い出しながらページを読み進めました。私は小説を読んだり映画を観る時は登場人物に感情移入して、まさに登場人物になりきって鑑賞するタイプです。わかりやすく言うと「燃えよドラゴン」を観た後はブルースリーになっているということです・・(なりきっているのではなく)。ですが本書には感情移入できる対象がいなかったので物語の世界にどっぷりと浸かることなく、自分の今までの経験とオーバーラップさせながら読んでいくことになりました。私はニシノユキヒコの様に女性と自然に接することができず…悩んだ時期がありました。思春期の時はデートをしても緊張してまったく話せなかったことを今でも鮮明に覚えています。また、この人じゃなくてはだめという感情になったことがなく、好きな人はいても絶対的に愛する存在がいなくて、私は人を心の底から愛することが出来ないんじゃないかと悩んだ時期もありました…。恋愛小説を読むと忘れていた思い出などいろいろな記憶が蘇ってくるものですねー
年齢をかさねたせいなのか、性格が変わったからなのか定かではないですが現在では好きになった人と、自然とまではいかないけれど自分なりに接することができるようになり、またすばらしい人と出会えたことで自分は人を心から愛せることがわかりました。だから今ではニシノユキヒコになりたいとは思いません。ニシノユキヒコというより誰かになろうと思わなくなったのかな。みなさんも本書を読むことでいろんな感情を体験できると思いますよ。 |
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