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| 2004/3/11 |
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『愛妻日記』
著 者:重松清 出版社:講談社
発行日:2003年12月 本体価格:1,600円
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先日、弊社のスタッフのMさんが結婚式を挙げました。結婚式も、後日行われた仲間内のパーティーも、ご両人の人柄を反映してか大変フレンドリーな、肩が凝らない和やかな雰囲気の中で行われました。祝福され新しい門出をきった二人の“健闘を祈る”というと、ちょっと年寄りがかったメッセージになってしまうのですが、“家庭”を築くというのは何らかの努力も必要なのかなとも思ったりしています。世間的にもよく言われているのですが、私自身も結婚後10数年を経て思うところは、家庭・家族に対する価値観というのは年代・育った環境等でずいぶん違うものだということです。微妙というか、決定的というか、違った家族観を持った他人同士が家庭を作り、家族を育んでいくのですから、それなりの葛藤が自分を中心に、親、伴侶、子、親族との間に生じてきます。家族構成員の心のバランスが取れてないと、大変なことになってしまいそうです。この心のバランスの崩れが、ドラマとか小説とかのテーマになってくるのでしょう。
家族をテーマにした、重松清さんの『ビタミンF』を2年程前に読んだ時は、それぞれのテーマ(7つの短編で構成されている)が自分の現実と重なったりして、なんか妙に励まされたというか、共感した部分が多かったように思います。家族として、さまざまな事情を抱え、否が応でも全員でその事情を共有しなければならないことは大きなストレスです。それでも、家族をよりどころに生きていく人も多いと思います。私もそんな中の一人なので、今でも時々、ことあるごとにこの本を読み返しているのです。
その重松さんが昨年末に出したのが『愛妻日記』です。ご存知のとおり、この本は「R-18」指定と銘打っています。我々スタッフに対する事前の新刊説明会では、この本のことがちょっと話題になりました。タイトルと、作家(家族小説作家の重松さん)から受ける作品イメージが、実物とかけ離れているというのです。匿名で発表された官能小説6編を一冊にまとめた本なのですが、刊行後2ヶ月以上たって刊行時の話題性が落ち着くのを待って読んでみました。「奥様には隠れて読んで欲しい」とのキャッチのとおり、内容的には夫側の願望というか情愛を軸に話が進むかたちになっています。重松さんにとって、家族のコアである夫婦関係の一面として、ことさら性的関係の部分を避ける必然はなかっただけなのかもしれません。表現的にはまさに官能的ではありますが、別の意味では、“性”をテーマにすると、人間関係というところでの本質的なところが多分に出てくるような気がします。官能小説ではありますが、読者がそれぞれの主人公と重なる年代だと、心の指南書とも思えます。自分が冒険できない分、読書の中で冒険してみるのも悪くはないと思いました。因みに、この本は刊行以後、コンスタントに、かつ、静かに売れ続けている本です。
弊社では、この春から夏にかけてスタッフの結婚ラッシュです。Iさん、Kさん、Kさん、幸せというか、自分たちが納得できるご家庭を築いていく努力を惜しまないでください。夫から、妻から、いつまでも「愛しているよ・・」といわれ続ける関係を保ってくれることを念じながら、重松ワールドに再び浸りたくて、一年前に読んだ『トワイライト』を読み返そうかなと思っています。
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【楽天ブックススタッフ 爺】 |
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