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| 2003/9/22 |
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『ライディング・ザ・ブレット』
著 者:スティーヴン・キング/白石朗 出版社:アーティストハウス
発行日:2000年11月 本体価格:1,000円
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母親が倒れたという知らせを受け、アランは病院へヒッチハイクで向かいます。ヒッチハイクの途中で何が・・・?行間から映画のようにビジュアルが目に浮かぶキングワールド炸裂の1冊です。多々あるキングの著作の中でも「ヒト」を描くことに主眼が置かれている作品が私は好きです。本書はそういう意味でも好きな作品です。
余談ですが、ヒッチハイク・・・みなさんは経験がありますか?私は人生の中で1度だけあります。高校生とき、部活の夏合宿で泊まっている宿から体育館まで朝マラソンだったのですが、あまりにもイヤでヒッチハイクで体育館まで先回りしたことがあります。タクシーと違って身元もわからない人の車に乗るのはかなりデンジャラスな行為ですよね。今なら絶対しません。
本書の主人公アランは街中では車が止まってくれないため、郊外に出ます。車通りもほぼなくなってしまい、母の容態を心配しながら歩いていると小さな田舎墓地に着きます。そこでよくある怪談話にありそうな展開なのですが、車が(ビンテージもののマスタング!)止まってアランを乗せてくれます。その車を運転しているのは、どう考えてもこの世の人間ではないストーブ。だってタバコを吸うと煙が喉からもれていたりするんですから。アランは車の中で「ぼくは、ぼくがストーブを死人であると知っているということを、ストーブに知られたくないと思っていた。そしてストーブのほうは、ぼくがストーブは死人だと知っていることを知っているのだが、そのことをぼくに知られたくないと思っている。そしてぼくは、ぼくがストーブは知っていると知っているのだが、知っているということをストーブに知られたくないと思っており・・・」とぐるぐるです。あぁこのぐるぐる感わかります。パニックってこういう感じですよね。その他の場面でも感じるのですが、パニックのときの思考回路の描写の上手さが何ともスバラシイです。
そしてこのストーブが「地上に残るのは母親か?おまえか?」という究極の選択を迫ってきます。小さいころからの母とのいい想い出や、これからの自分の将来・・・いろんなことが脳裏を駆け巡ります。だって・・・そんなこと誰が決断できるでしょう。
ラストは読者の期待をいい意味で裏切る展開。読みやすく一気に読めてしまうのですが、読み終わった後はいろいろ考えさせられました。またいつか・・・絶対思い出すことがありそうな作品です。 |
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