アスファルトから照り返す熱気と陽炎、それでいてゆるゆると纏わりつくような湿気が北海道育ちの自分としては何とも気の滅入る季節なのですが、今年は雨が降ってばかりの「夏」で調子が狂ってしまいます。数日暑い日が戻りましたが相変わらず雨が多く、通勤で住宅街を通り抜けるときにぼんやりと霞がかって見える朝は特に憂鬱になりがちなので、さっさと(暑くてもいいから)毎年訪れるあの「夏」がやって来ないかと溜息をついていたとき、この一冊を思い出しました。
最初に読んだのは高校生の時で、当時はこの『夏への扉』が「SFの入門書」と呼ばれていることなど露知らず、読後のあまりの爽快さに同じ著者の他の本(『月は無慈悲な夜の女王』『宇宙の戦士』など)も読み始めたのですが、こちらは正真正銘のハードSFで想像力の乏しい自分はさっさとこの本だけを頭にインプットして、放り出してしまいました…(笑)現在、改めて『夏への扉』を読んでみるとSF的な要素(冷凍睡眠やタイムスリップなど)が軸として存在してますが、まったく難しい言葉での説明などはなく、むしろその要素を使った最後の大どんでん返しに繋がる巧妙な技にただただ感心するばかりで、やはり読後の爽快感はしっかり健在でした。
しかし、当時と現在の爽快感が多少異なっているのに気付き、「そういえば当時この本を読む前、彼女に振られたんだったなぁ…」と思い出し、自分と主人公を重ねていた痛い部分(主人公の方がもっと酷かったですが…)まで更に思い出されて、何だか「夏」どころではないような気もします…。そんな訳で「今年の夏なんかよりも『自分の』夏への扉を探さなければいけないのではないか?」と、ふと気になったりもします…が、兎に角、元気を分けてもらえる作品なのです。
※ところで、以前【卯】さんが紹介した際に、飼い猫に「ピート」と名付ける人が多いと書かれていましたが、自分の周りのSF好き仲間で猫を飼っている人に確認したところ早速発見しました! 理由を尋ねると、「彼(ピートのことらしい)はとても勇敢であり尊敬に値する」とのことでした…。 恐るべし猫派…。 |