20代前半のある女性タレントが、特に好きな本として挙げていました。内容は、まさしく、というもので、優美23歳が一緒に暮らしている雪道20歳と別れることになり、1か月だけそのまま優美の部屋で暮らし続ける間の優美の心を描いたものです。――なんて短くまとめられるものではありませんが、随所に現れる表現に、「ああ、こんなこと考えるよなぁ」と思わされました。ちょっと自意識が強めの、「とりたてて魅力のない普通の女の子」と自信なさげな、辛いときは一人でかなり長い時間めそめそしていそうな、そんな主人公でした。
私なんかは、そういう主人公にかなり一体化して共感してしまうほうなのですが、こういうのがだめな人もやっぱりいるみたいですね。つい最近も、ある女の友達と話していて、「あ〜、わたしそういうの全然ダメ」と却下されてしまいました。たしかにその人は、めそめそしているところが想像しにくい人だし、優美にも「なにぐちゃぐちゃ言ってんの。いいじゃない、早く別れちゃえば?次の合コン来る?」と諭しそうな、優美とは友達になれなさそうなタイプです。
どうなんでしょうね。泣きたいときは泣いたらいいとも思うんですが、一方で、いつまでもその感傷にひたって、ともすれば泣いている自分をかわいそがってしまっては、自己満足のヒロイズムかもしれないし、かといって、「またすぐいいことあるよ」って言い聞かせようとしても、現実に翌日突然、ばりばり好みの人が声をかけてくれるわけでもなく、まためそめその現実に戻ったり。
とは言え、話のわかってくれる友達(上記の友達とは違う人)に相談して、「だよねー、わかるわかる」とうなずいてもらえば、励みにもなりますしね。それもともかく、新聞記事のタレントさんの言葉にもありましたが、本を読んで「これこれ、私の思っていたのはこういう気持ちなんだ」と主人公に自分を投影するのは、小説を読む楽しみの一つでしょう。主人公に自分を重ねて、自分に似た境遇が美しい言葉で表現されていることに「ああ、私ってなんて不幸なの」と自己陶酔することに過ぎないかもしれませんが、いいんです。それで元気が出るな
らよしとしましょう。そしてその次には、こんな本 でも読んで、前向きな気持ちも思い出したりして。
…しかしそれにしても、優美はもっと雪道に自分をぶつけたほうがよかったんではないでしょうか。ちょっとくらいかっこ悪くたって、「私はあなたが好きで好きで大好きなのです」と、自分の手でぎゅっと握って離さないという素直さがあれば、雪道の心を引き戻せたかも。終わり近くになってわかる、優美が今まで雪道や早苗に知らず知らずにしてきたことを考えると、いっそう強くそれを感じます。優美にあまりにも同一化してしまった人はご用心を。
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