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| 2003/4/16 |
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『逃亡作法』
著 者:東山彰良 出版社:宝島社
発行日:2003年04月 本体価格:1,600円
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こういうお話はとにかくどれだけ奇抜な設定下にあるかってことが大事なんだと思う。その点でこの『逃亡作法』にはぐぐーっと引き込まれました。この“ほんの少しだけ未来の日本”では死刑制度が廃止されていて、刑務所もキャンプなんて名前を変えて随分自由な環境になっているのです。どうしてそんなことが出来たかというと、収監者たちはマイクロチップを埋め込まれて、眼圧を急激に上げられているのです。人為的な唐突なバセドー氏病が誘発されるので、眼球が飛び出しちゃうんですよ。で、その作動を妨げる電波がキャンプの敷地にだけ流されている。と、そんなわけ。さすがに目玉は惜しいから受刑者たちは外に出ないという構造です。
しかしそれでおさまらないのは、被害者や被害者の家族の方。連続少女強姦魔なんてのは残された親にとっては何よりも憎いもの。死刑になることもなく、ある程度の自由を保障されたキャンプでのうのうと暮らしている犯人を思ったら夜もおちおち眠れやしません。そこで復讐を誓った彼らはキャンプの襲撃をたくらむのです。そんでもってそのドタバタに紛れて脱獄しちゃった一派が居たり。。。いやぁ息つく暇もないほどのスピードで冒頭部分が進みます。この非現実的な設定はまさにバトルロワイアル系。あれが好きだった人はぜひ読んでみてください。(ちなみに私はあれは過激すぎて苦手でしたが、こちらは楽しんで読めました。)
どうして眼球を失うことなく逃げられたのか?とか、全国各地に張りめぐらされた電波からどう逃げているのか?とか、多くの憎しみを背負った連続少女強姦魔はどうなっちゃったのか?というのは読んでのお楽しみです。ハードボイルドタッチでありながら暗さがないのが特徴かなぁと思っています。私の中のイメージではハードボイルドキャラってのは足を引きずりながらボロボロになって歩いているものだったので、それと比べると足取りの軽いこと軽いこと。このノリはどこか伊坂さんの書いた陽気なギャングたちを彷彿させます。
とにかくノリがいい、そして突っ走ってる。そんな悪人達の物語。好き嫌いはあると思うけど、ぜひ体感してみて欲しい1冊です。しかし個人的には飛び出したり踏みつぶされたりする眼球達には閉口しました。うぅ…痛そ。 |
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