東京にはどんな繁華街にもお稲荷さんやお地蔵様などなんらかの神仏を奉った一角があるのを、以前からおもしろいなあと思っていました。中にはその一角を残すため、変な形の駐車場になっていたり、無理した形跡があるものも目にします。わずかな敷地でもその土地の値段からすると一坪いくらするんだろうと、下世話なことを考えてしまったりします。合理主義が当たり前の世の中で、まだそんな精神性を重視する部分が残っているというのが興味深いのです。
『東京魔界案内』は、お台場、原宿、新宿副都心など、現代の東京に残る江戸の記憶を辿るうち、いつしか「魔界」にひっぱりこまれているという不思議な1冊でした。
京都と同様に、東京も江戸城(皇居)を中心に陰陽道と風水の思想で作られたのだそうです。風水によると東京は「背水臨水」という、最高の立地条件で、東京湾は「明堂」とわれる大切な存在です。そこにアクアラインを通し、「海ほたる」とい人工島を作ったことは、東京の運気を下げることなんだそうです。しかも、トンネルを通して大切な「明堂」を塞いでしまったのはかなりまずいらしいです。97年にアクアラインができてから日本経済が下降してるのも、その影響かもしれないそうです。今となってはどうしようもありませんが、ハマコーに一言言ってやりたい気持ちになりました。
その他、大手町1丁目というすごい住所の将門塚や、江戸の鬼門を守り、幕末に官軍に追いつめられた彰義隊が玉砕した上野の山、黒船にビビった幕府が突貫工事で埋め立てたというお台場等々、一見区画整理され、きれいにとり澄ました街の下の層に刻み込まれた歴史や因縁などが語られ、各章末にそこへの行き方やお得情報などが載っていて、ひと味ちがった観光ガイドになっています。
たまに「トンデモ」っぽいところもありますが、渋谷のスクランブル交差点についての解釈はすごく納得してしまいました。私もあそこにはなんかあると思っていました。若者が沢山いても、原宿の人混みとは異なる感じ。「活気がある」というより、「負」の気が渦巻いているイメージ。トシだからじゃないかと言われればそれまでですけど。
今年2003年は1603年の江戸開府からちょうど400年にあたります。400年前の叡智を結集して作られ、400年間日本の中心としての機能を果たしてきた東京の街には表面だけ見ていてもわからない深い闇が今でも息づいています。そう考えると電車から見る風景も、なんだか魔界めいて見えてきます。 |