ふだんあまり読まないジャンルなんですが、貸してくれた人がいて、読んでみることになりました。こうして、貸してもらったり贈られたりというのも、本との出会いと言うか、自分の世界がひろがる面白さがあります。以前『半落ち』を【瑞】さんにすすめられて読んだときに、自分がよく読む本の湿った文体と比べると「かたくしぼったタオルみたい」と違いを感じたのを思い出しました。
主人公の淳子は、念じただけで物を燃やせるという超特殊能力を持っています。しかも、高温で、その物だけが燃えて、まわりには延焼しないという、そんな燃やし方で。淳子はたまたま極悪人グループを見つけて、最初の3人、それから、逃げた1人を追いかける途中で出会った悪いヤツらを、どんどんボーボーと燃やしていってしまいます。中には、巻き添えを食って燃やされた、それほど極悪ではない人もいるのですが、「それもやむを得ない」と割り切ってしまう淳子の浅薄な「正義感」に、そんなに簡単にやっつけちゃっていいのか〜と、反発を感じなくもありませんでした。
ただ、この淳子の特殊能力は、しばらく使わないでいるとエネルギーがたまって臨界点を超えてしまうために、定期的に放出する必要があるのです。いつもは人目を避けて池に放出したりしています。それなら悪人を退治しよう、しかも警察の正規ルートでは手が出せないような悪人を、と考えるのも多少理解してあげる必要があるのでしょう。物語後半では、淳子の心も揺れていき、それには、少しほっとさせられました。
ふと「ロイヤルデューティ」という言葉を思い出しました。能力を持つ者であるがゆえの果たすべき義務というものがあります。しかし、淳子は特殊能力のことを他人に言えるわけもなく、孤独に背負って生きるのはつらいことです。また、それにつけこむさらに悪いヤツらもいるので、よほど志を高く持つ必要もあるのですね。エリート教育って、大事なんですよ。うん。 |