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| 2003/3/12 |
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『Separation』
著 者:市川たくじ 出版社:アルファポリス/星雲社
発行日:2002年05月 本体価格:1,380円
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あー切ないなぁ。恋愛小説を読んでこんなに哀しい気分に覆われたのは久しぶりでした。泣きはしなかったんだけど、読み終わったその日の夜は昔の恋の夢(それも悲しい思い出部分)を見てしまって、翌朝は朝からげっそり。考えてみると、しばらく恋愛の王道を行くような小説って読まなかったなぁとしみじみ思い起こしています。どうやら『ジャンプ』を境に恋愛小説との付き合いが途絶えていたようなので、その間4ヶ月以上。ああ、こういう痛い思いをするのがイヤで無意識のうちに遠ざけてたのかなぁ…なーんて事を考えました。
市川拓司さんという名前は、O書房のS川さんから聞いて初めて知りました。最近発売された『いま、会いにゆきます』がいいよ〜と聞いたのがそのきっかけ。この『Separation』はネットで連載されていてほぼ自費出版のようなカタチで出版されたらしいのですが、今になってまたまた動き始めたのだそうです。『天国の本屋』みたいな話題作になっていってくれたら嬉しいなぁと思っています。
先ほど“痛い痛い”と書きましたが、本編は以外にもSFちっくな設定(安易にSFとかっていうとSF者に怒られたりする?)なのです。『Separation―きみが還る場所』の方は、結婚してささやかにも幸せに暮らしていた2人だったのに、妻が突然若返りを始める…という内容。『VOICE』の方は恋人の声が聞こえる青年の苦悩と2人の成長を描いた物語。という感じ。現実にはあり得ない話なのに、なぜか読み手の心を掴んで離さないその磁力というか魅力はなんだというのでしょう?切り取られている景色の美しさなのかもしれないし、哀しみに向かいながらも相手を愛するということを貫く恋人達の姿のきらめきなのかもしれません。美しい物語に触れた充足感があると同時に、なんだかとてもざわざわした気分です。
これ以上書くと、やりきれない気分になって笑いでオチをつけそうな気がするので、今日はこの辺にしておきます。とにかくものすごい余韻を残してくれる本でした。作者の中に、文字として昇華させたい大きな想いがあるのを鮮烈に感じます。本になったその想いを、少しでも多くの方にお届けできるように頑張ってみたいと今改めて思いました。 |
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【楽天ブックススタッフ 瑞】 |
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