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| 2003/2/26 |
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『時計を忘れて森へいこう』
著 者:光原百合 出版社:東京創元社
発行日:1998年04月 本体価格:1,900円
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1999年に話題になった本を今さらながら読むことが出来ました。話はいわゆる「日常の謎系ミステリ」なんですが、どちらかというとほのぼのとした恋愛小説として読めます。っていうか読みました。北村薫&加納朋子ファンを標榜するからには、これは読んでおかなきゃならないなぁと思ってたので読んだことでひとまず満足。
主人公の若杉翠の一人称で語り進むのですが、この人がまたやたらピュア。そして探偵役をつとめる深森護(この人はシークっていう森林の中での環境教育を行う協会のレンジャー)がこれに輪をかけてピュア。この2人を筆頭にこれでもかと“いい人”のオンパレードなので冷静に自分を振り返りながら読むとちょっと気恥ずかしくなります。でも読後感はその分良くて、なんとなくた〜っぷり森林浴して癒されましたって感じです。たまには、なんの曇りもない人のココロに触れるのもいいものです。
といっても物語の中では人の悪意から生み出された事件も起こりますし、傷ついた人も出てきます。それを全て森が癒してくれるという壮大なパワーをじわじわと感じました。小説そのものは軽く読める作品でしたが、この背景がちゃんと読み手に伝わってくるのは、著者の光原百合さんが実際にこのモデルになった体験をしてるからなのでしょうね。普段なかなか触れることの出来ない森の夜の姿とか、搾りたて牛乳から作ったアイスクリームの味だとか、雪の上に見つけた動物の足跡だとか。実際に体験した人ならではの新鮮な感激がストーリーに花を添えています。いいですねこういうの。
一昨年だったか、あるパーティーで光原さんご本人にお会いしたことがあります。本の印象から、夢見がちで壊れ物のような繊細な女性を想像していたのですが、意外や意外(失礼)きゃぴきゃぴとエネルギッシュな方だったので驚きました。今になってこの本を読んでみると翠とイメージが重なります。都会の喧噪の中に生きているとなかなか自然に身を浸すことが難しいものですが、そんなときこれを読んでみると疑似森林浴をして、自然の中でリフレッシュしたような気分になれるかもしれません。 |
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【楽天ブックススタッフ 瑞】 |
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