今公開中の映画『マトリックス・レヴォリューション』、もう観ましたか?私は2回観に行ってきました!実は私が1作目の『マトリックス』を観たのはほんの1週間ほど前。その日はもう眠れずに翌日になって2作目の『リローテッド』をVTRで観て、それから3作目『レヴォリューション』を2回連続で観に行き、その間はネットでマトリックス関連サイトを読み漁り、まさにマトリックスにジャックイン状態で…。まあそれはともかく、『マトリックス』についてよく言われているのが、この映画は非常にさまざまなジャンルの作品に影響を受けているということ。でもそれは文化の正しいあり方です。既存のものをバラして新しい形に作り直して、そうして文化が継承されていくのですね。
で、『マトリックス』を観た時に私が真っ先に思い浮かべたのが、ウィリアム・ギブスンの小説でした。W.ギブスンは、『ニューロマンサー』(1984)で一世を風靡した、サイバーパンクSF小説の創始者。その大傑作『ニューロマンサー』の原型となったのが、本書『クローム襲撃』(1982)なのです。未来都市を舞台に、仮想電脳空間に侵入し大金を奪うハッカーを描いたクールな短編。私がこれらの小説を読んだのは約10年前ですが、『マトリックス』に繋がりそうなものなら何でも読みたい!ということで、久しぶりに手にとってみました。
サイバーパンクSFの特徴として挙げられるのが、?人間の肉体にコンピューターと接続するためのジャックが埋め込まれている。?そこにプラグを挿入すると人間はネットワーク世界=仮想電脳空間にジャックインすることができる。?その仮想電脳空間は視覚化されており、その中で人間は飛び回り、闘い、情報をハックする。…などの要素なんですが、これってそのまま『マトリックス』じゃないですか!『マトリックス』の元ネタの一つとしてよく引き合いにされる『甲殻機動隊』も、このサイバーパンクの流れで出てきたのですねえ。しかも、『クローム襲撃』では冒頭から既に「マトリックス」という用語が頻出!人間がジャックインする仮想電脳空間のことを「マトリックス」と名づけたのこそ、W.ギブスン。『マトリックス』の原型がここにあります!!それからついでなんですけど、もう一つ気が付いてしまったのが、「あなた」「君」の代わりに「おたく」というタームが使われていたこと(笑)。あぁ「おたく」の原型?までもがここに…!と、胸を高鳴らせずにはいられませんでした。
本書には表題作の他に9本の短編が収められていますが、その中でも『記憶屋ジョニー』(1981)は傑作です。脳内にシリコンチップを埋め込んだ青年が脳に記憶させたデータを運ぶ、ハードボイルドな短編。この作品、『JM』(1995)というタイトルで映画化されていまして、主人公はなんとキアヌ・リーヴス、対するヤクザのボスは北野たけし、というグレイトな配役。昨日さっそくVTRで観たのですが、B級中国アクション映画風味のかなり素敵な出来…。ここにも『マトリックス』の原型が…!と、胸が熱くなったのでした。
ところで余談ですが、『ニューロマンサー』というタイトルを見ると、どうしても菊池桃子が昔歌っていた「ロンリーロマンサー♪」というサビが頭の中で鳴ってしまうのは私だけでしょうか…(確か『テラ戦士サイボーイ』という映画の主題曲)。気になってしょうがなかったので調べてみたところ、この曲が流行ったのは『ニューロマンサー』が発表された翌年。アイドルもちょこっとサイバーパンクしてたんですねぇ(笑)。
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