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| 2003/11/12 |
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『あさきゆめみし 全7巻』
著 者:大和和紀 出版社:講談社
発行日:2001年08月 本体価格:4,450円
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『源氏物語』を原作としたマンガ『あさきゆめみし』の世界に生きることができるとしたら、どの登場人物になりたいか。そんな話題で盛り上がったことありませんか?男性は光源氏になれればそれでOKかもしれませんが(そうじゃない人もいると思いますけど)、女性にとってはかなり迷いに迷うテーマであります。
私が『あさきゆめみし』を最初に読み始めたのは小学5年生のときで、当時「薄幸の美女」というものにあこがれていた私は、源氏と結ばれつつもはかなく命を散らせる夕顔になりたい!と単純に思っていました。ところが、『あさきゆめみし』を読み進めていくにつれ、そして自分も成長するにつれ、どの女性にもなりたいし、なりたくない…というようなアンビバレントな思いに心が揺れるようになるのです。そして思春期の多感な頃になると、「どの女性も光源氏だけを心から愛しているのに、当の光源氏ときたら何人もの女性と関係を持ってるなんてズルイ!そんな耐える女性と遊びまくる男性の恋愛物語よりも、清少納言の『枕草子』のシニカルでユーモラスな随筆の方が断然面白い!」と思っておりました。けれど、さらに年をとると、また感想が変わっているのです…自分でも驚きなのですが。
今、どの女性になりたいか?と問われれば、ハッキリ言って「誰でもイイ」です(笑)。自分のほかに別の女性がいようとも、生きている限り結ばれることがなくとも、その人をずっと愛していけると思えるくらい素晴らしい男性と出会い、ひと時でも互いを思い合う、そんな経験をできるものならしてみたい!と、今の私は思うのです。美しく、身分も高く、聡明で、センスがあって、心から人を愛することのできる真心を持つ、そんな究極の理想としての光源氏。実際そんな人が世の中にいるのかどうかわかりませんが、少なくとも『あさきゆめみし』を読んでいるうちは、光源氏は私の目の前に存在しています。とてもではないけれど、夕顔やら藤壺の宮やら紫の上やら明石の君などに独り占めさせておくわけにはいきませんね(笑)。願わくば、その並み居る女性群のうちの一人に加えていただきたい!と思うくらいですから…。
原作者の紫式部が『源氏物語』を執筆しはじめたのは、彼女が30歳近くになった頃だとされています。そしてこの物語は、まず宮仕えの女房達の評判を呼び、徐々に広まっていきました。紫式部がこの物語を書いたのも、宮仕えの女房達がこの物語を楽しんだのも、やはり今の30歳の私が感じているのと同じような感覚だったのだろうなと思います。現実にはあり得ないけれど、でもできることならこんな究極の男性と一時でいいから恋に落ちてみたい。そう思いながら紫式部がこの物語を書き、女房達がこの物語を読んでいたのだと思うと、平安時代の人々が何だかとても身近に感じます。古今東西、恋愛は女性(男性も?)の永遠のテーマ。だけど、ここまであからさまに女性の願望が凝縮された大ロマンスを、文学の最高峰のとして誇っている日本って、なかなか悪くない!と思いました。
『あさきゆめみし』の作者・大和和紀さんは、紫式部が『源氏物語』を書き始めたのと同じくらいの29歳でこの作品を書き始め、完成させるのに15年かけたそうですが、その間にかなり作品に対する考えが変わったそうです。本当に素晴らしい作品というのは、年齢や性別や状況によって様々な受け取り方ができる器の大きさを持っているものです。私もこの先、また『あさきゆめみし』もしくは『源氏物語』を読んだらきっと考え方が変わっているのかもしれないなぁと思うと、今後自分がどういう感想を持つようになるのか、今からとっても楽しみです! |
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