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読書日記 2004年3月31日更新
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2002/9/30
『北斗の拳(12)』

著 者:原哲夫/武論尊
出版社:集英社
発行日:1986年09月
本体価格:388円
「北斗の拳」に名場面は数あれど、その中で、1つを選べ、と言われれば、迷わず選ぶのがこのシーン。
集英社コミックス12巻に収められている、ラオウとトキ、血を分けた兄弟の最後の戦いです。「見事だ弟よ」「兄さん」というあのシーンより、「おまえかっこよすぎるんだよ」というあの台詞より、読者の心を締めつけるのがこの場面。
いやもう泣けて泣けて。マンガを読んで泣けるのは今にはじまったことではないですが、愛する者との別れのシーンでもなく、自分を犠牲に誰かを助ける、という、お涙頂戴の展開でもなく、二人の男の戦いを描いたこの場面に、何故に涙が出るのか。死を覚悟してなお、兄を目指すその純粋さが涙を誘うのか。それとも、ありあまる才能を持ちながら、病のために朽ちていく、トキの非業の運命がそうさせるのか。色々考えた結論としては、そうか、ラオウが泣くから泣けるんだろうな、という事です。

実は、というか、読めば誰でも分かることですが、「北斗の拳」という物語は、主役はもちろんケンシロウ、しかし、ラオウがいてこそのケンシロウであり「北斗の拳」なのです。
最強の男になるために、二度と涙を流さぬと誓ったラオウ。
ケンシロウとトキにとって、ラオウは、偉大なる長兄、というだけではなく、目標であり、憧れでもあり、それは、野望さえなければ、自分もケンシロウも、喜んで伝承者の地位を譲っただろう、というトキの言葉にも表れています。

思えば、このシーンを含め、カサンドラでラオウが登場してから、一片の悔いなし!と倒れるまでが、北斗が最も輝いていた時期でしょう。劇中に、「ラオウ、トキ、ケンシロウ、この3人により、北斗神拳は最強の時代に、違う時代に生まれていたら、各々が名に恥じぬ伝承者になっただろう」という台詞がありますが、その言葉通り、トキが倒れ、ラオウが去り、ケンシロウ1人だけになった時「北斗の拳」という作品も、その勢いを失っていくように感じます。

戦いを前に拳を交えるケンシロウとトキ、ラオウの頭上に輝く死兆星!神ですらこの戦いの行方はわからない!死を覚悟して、封印していた剛の拳を使うトキ、そしてラオウの涙。この戦いの後、ラオウとケンシロウの激突に向けて物語は驚異的な盛り上がりを見せていく訳ですが、「遠き誓い!」のシーンは、その北斗最盛期においても、最も重要かつ感動的な見せ場の一つということができるでしょう。
さらに、この巻には「おまえが飛ぶんだ」「あ・・・新記録」という微笑ましいシーンも収められており、ファンならずとも持っていて損はないでしょう。
【楽天ブックススタッフ 久】


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