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| 2002/9/27 |
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『椿山課長の七日間(なのかかん)』
著 者:浅田次郎 出版社:朝日新聞社
発行日:2002年10月 本体価格:1,500円
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泣くために本を読むというのも変な話なのですけれど、大人になるとさすがに公衆の面前でオイオイ泣くことが出来なくなるので、一人っきりの時に涙で心の澱を流すというのは良いことのような気がします。なので「この本泣けるよ」という話を聞くと読まずにはいられません。&毎度毎度かなりの確実で泣かしてくれる浅田次郎さんの作品は、その中でもかなり重宝させる一群です。連休中にこの『椿山課長の七日間』と『プリズンホテル(秋)』とを立て続けに読んで、涙を流しまくりました。泣かすためのわざと小道具が明らかなのにもかかわらず、ここまで泣かされてしまうなんて…やっぱり浅田次郎はすごい!
椿山課長は、某デパートの課長。大がかりなセールを前に緊張と騒動の日々を過ごしています。そんな中過労がたまったのか、不摂生がたたったのか突然死。周囲の面々よりあわてたのは本人の方、子どもはまだ小さいし年若い最愛の妻もいる。父親は呆けてしまって施設のお世話になっていて、家のローンはまだまだ続く…というやり残したことばかりの中で死んでるわけには行かないのです。(何よりも真っ先に気になったのがセールの売り上げの行方だったところにちょっとサラリーマンの悲哀を感じました。)
で、死んでも死にきれない彼は、あの世に行く途中に「邪淫の罪」を着せられてもっともっと納得のいかない気分になってしまいます。(まあ、冴えない人だったんですな)そしてあがきにあがいた結果、初七日までの数日間のみ現世に戻ることを許されました。でも、自分の肉体で蘇るわけにはいかないため、すばらしい美女の体で蘇るのです。そして彼は自分でも気づかなかった事をいろいろ見て、最後の人生の一幕を下ろしていくというお話。
自分に似ずに聡明で可愛い息子や、交通事故で死んでしまって一緒に蘇った男の子。人違いで殺されてしまったヤクザの親分(これがまた人徳者なのよね)、若い時を共に過ごしていた大親友件恋人の女性などが続々登場してきて交差していきます。「潔い」って言葉の意味をじっくり考えさせられる話が多かったですね。特に泣かせてくれたのは椿山課長のお父さん、今思い出しても涙が出てきます。一本気で格好いい生き方ってああいうことでしょう。『海辺のカフカ』のナカタさんといい、このお爺ちゃんといい最近ずっと忘れられなそうなお年寄りにいっぱい会っている気がしています。 |
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【楽天ブックススタッフ 瑞】 |
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