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読書日記 2004年3月31日更新
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2002/8/8
『罰』

著 者:新野剛志
出版社:幻冬舎
発行日:2002年05月
本体価格:1,700円
いきなり成田周辺のパーキングから話が始まります。どうやら主人公の脇坂は過去に何か罪を犯し、刑務所から出てきた人間らしく、自らに罰を科しつついじこじと暮らしています。なかなか何をやったかが語られないウチに、そのパーキングの上司(こいつがなんとも食わせ者なのです)からある人物の海外逃亡を幇助するバイトを頼まれるのです。むろん脇坂は断りますが、とある事故で大きな借金を会社に負うことになってしまい、仕方がなくその仕事をすることになりました。

刑務所帰りの修をこのパーキングに紹介したのは、近所に住み居酒屋に勤める従妹の朝子でした。実は彼は朝子にひそかな思いを抱いていたのですが、幼い頃から兄姉のように育ってしまったがために倫理観から一線を踏み越えられないでいたのです。そんな苦しい思いを抱えて見ていた女性を奪ったのはなんと実の父親でした。それも初めて見た瞬間は情事の後のけだるい時間を過ごしているふたり…衝撃から思わず父親を殴り殺してしまった、それが彼の罪であり、朝子の側で自らを殺し彼女を守って生きていくことが自分に科した罰だったのです。そんななか非合法なバイトを始めた修は、一週間程度の逃亡者を匿うという仕事を着実にこなしていました。しかし最終日に起こった非常事態をきっかけに大きな犯罪に巻き込まれ、彼自身も逃亡者となってきます。

途中“家のオーブンから焼け焦げた人の足首が見つかる”などというグロテスクな展開があった割には、動機がささやかなもので(まぁ本人にとっては大きな問題なんでしょうけど)どうもスケール感が乏しかった気がします。このあたりちょっと不満。とはいえ、新野剛志さんの作品って割と隣で起きそうな事件がよく扱われているので、著者ならではの特色なのでしょうか?個人的には最も個性的なキャラだった中条(海外逃亡企て男)をもうちょっと書き込んで欲しかったなぁと思っています。

それより何より、脇坂の悶々とした想いがじれったくてじれったくてたまりませんでした。(それも想いを遂げてもまだ悶々してるし)夏目漱石や武者小路実篤の小説にはこういうじれったい人ばかりが出てきていて、それだけで文学になっていたのに時代とは変わるもんだと勝手な考察をしています。
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