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| 2002/8/6 |
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『心理療法個人授業』
著 者:河合隼雄/南伸坊 出版社:新潮社
発行日:2002年06月 本体価格:1,300円
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南伸坊さんは「生徒の達人」なんだそうです。その授業の受けっぷりは見事なもので、過去すでに「解剖学」「免疫学」「生物学」とすご〜い学問をものにしてきています。学問をものにするってどういうことなのか良くわかりませんが、生涯をかけて研究に没頭する学者・先生たちがあれだけ沢山いるのですから、学問の概要を知ったことで素人としては合格ラインなんじゃないかと勝手に思っている次第です。
この個人授業シリーズは「心理療法」を初めて読みました。読むまでは対話形式のものだと思っていたものの、南さんが先生の話をよりかみ砕いてレポートとしてあげたものがこの作品でした。章ごとに「先生の一言」というのが付いていて、南さんのレポートを補足しつつ、時には新しい視点を喚起されている事に好感が持てます。幼い頃から「先生というのはとーっても偉い人で、その人のいうことは絶対正しい。」と思いこんで大きくなった私ですが(嘘です)生徒の「なぜ?」に自分の知的好奇心を刺激されていく先生が「生徒から学べる立派なセンセイ」なんだなぁとあらためて感心。
それはさておき、肝心の中身は“心理学”でなくて“心理療法”であるところがポイントです。世の流行のご多分にもれず人のココロの中身や動きを知りたいと思った私も、心理学というものに並ならぬ興味を持ちました。大学の時に一般教養でとった行動心理学というのも面白くて、4年間で一番心に残る授業になっています。(専攻は法学部なのに…)ところが、心理学というヤツはフロイトがどうしたこうしたユングが反発してどうしたこうした…と抜け出られないような学説対立の話が多かったのですごく敷居が高かったのです。今回の話は、病気の研究だけに終わらずに、治療して治すという観点での話だったので、心やすく読めました。箱庭療法の話など、かなり面白かったです。
話自体も面白いのですが、南さんのおにぎり顔の似顔絵がとびきりのスパイスとなってページを引き締めています。とてつもなく真面目な話をしているのに、なんとなくちょっと揶揄したような絵が入るので場が和むというか、どこかおちょくられた気分になるというか、とにかく独特の雰囲気を作っています。河合隼雄さんが広辞苑を枕にして寝てる絵は傑作でした。ヒトのココロを面白がるなんて!?と思う方もいらっしゃるかとは思いますが、優しさに満ちた語り口にはなんだか癒されます。こういう授業ぜひとも受けてみたいものですね。 |
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