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読書日記 2004年3月31日更新
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2002/7/15
『詩歌の待ち伏せ(上)』

著 者:北村薫
出版社:文藝春秋
発行日:2002年06月
本体価格:1,238円
本が好きだ、小説が好きだ。なんて言葉は北村薫さんの博覧強記ぶりをみてしまうと恥ずかしくて口に出せなくなってしまいます。とにかくこの記憶力、洞察力はただ者ではありません。(実際ただ者ではないんですけどね)
この『詩歌の待ち伏せ』はもともと雑誌のオール読み物で連載されていたものだそうで、ようやく上巻が刊行のはこびとなりました。正直「地味なテーマだなぁ・・」と思ってしまって買ったはいいが珍しく積読対象になっていた本だったのです。ところが先日、本の師匠である日販のT部長からの久しぶりのメールでこの本が絶賛されていたのを期に読み始めた、というわけ。

今さら私がここに書くほどの話ではないのですが、北村薫さんはもとは高校の国語の先生でした。私の同期には高校時代に彼に国語を教わったという大変ラッキーな男性がいます。とにかく面白い授業だったということを聞いて北村薫ファンの私は地団駄を踏んで悔しがったものです。っていうか今でも羨ましい・・こんな私の叶わぬ想いはこの本を読むことでちょっとだけ叶えられました。古典から近代に及ぶ詩歌をしみじみと味わうこの本は、まるで北村先生の誌上授業を体験しているかのよう。そうはいっても堅苦しい話はひとつもなくって、子どもの頃から現在に至るまで、ふとしたところでまるで待ち伏せしていたかのような詩歌に出会った話と感じた想いが書かれています。その気づきと考え方が秀逸でした。言葉に対する感性はこうやって培われていくのですね。

最近は日本語ブームと呼ばれるように、日本語本が受けていて売れていたりするのですが、どちらかというと日本語の断片を切り取ったものが受けているようです。逆にこの本だと、しみじみと体の中に染み入った詩歌がどんどん広がり、過去の思い出を呼び起こしながら新しい話題を提起していく。と、そんなつくりになっています。テクニックにとらわれず、様々な考え方を許容し、瑞々しい感性を磨かれる…そんな本です。これも本当に沢山本を読み、詩歌に触れ親しんできた北村薫さんならではでしょう。読み手はそんな知識と経験の美味しいところだけつまみ食いをしてしまった気分になります。北村薫というビッグネームが書いたことで、見直される詩があれば嬉しいことですね。とにかく下巻が待ち遠しいです。
【楽天ブックススタッフ 瑞】


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