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| 2002/6/19 |
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『マディソン郡の橋終楽章』
著 者:ロバート・ジェームズ・ウォラー/村松潔 出版社:ソニー・マガジンズ
発行日:2002年05月 本体価格:1,400円
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とても印象に残る場面がありました。写真家ロバート・キンケイドと農夫フランチェスカの運命の四日間のその後を描いた作品ということで、お互いがまぶたの裏に互いを想い逢えぬ想いを募らせるという描写がいくつかあります。その中でフランチェスカが当時の体型を保つべく細やかな努力を欠かしていないという話があって、彼女があの時着ていたドレスを持ち出して身にまとって鏡の前に立つ。と、そんなシーンです。『マディソン郡の橋』において、キンケイドとの恋をあきらめ家庭を選んだフランチェスカでしたが、彼女の心にはあの四日間が永遠として残ったんだなぁとあらためて印象づけられます。一番輝いていた自分を残しておきたい、もしもう一度出逢えるのならば、あのままの姿で逢いたい。ましてや時間を体に刻み込んだ姿を見て幻滅なんてされたくない。そういうことってありますよね。なんだかそんなオンナゴコロに参りました。
誰しもきっと人生にはそういう選択の時があって、時がたてば経つほど「もしかしてあったかもしれない現在」に想いを馳せることが多くなるのでしょう。キンケイドとフランチェスカの人生はまるで二重螺旋のようで、四日間を起点にした彼らの関係は絡み合っているようでいて、触れあうことはなくそして収束に向かうという、言ってしまえばじれったいものでした。いや、でもそれだから恋っていいのよね。
この終楽章では、キンケイドの息子という人物が登場します。放浪中に関係をもった女性とのあいだに実は子どもが出来ていて、大人になった彼が父親探しを始めるのです。そちらの物語でせつない主人公二人の想いが多少薄まっちゃったかなという気がするのが残念なところ。ただ著者のロバート・J・ウォラーさんのお話を読んだりすると「どうしてもキンケイドに天涯孤独でない人生を与えたかった」のだそうで、このおかげで遺品がフランチェスカに届いたと思えばそれもいたしかたないのかなとも思えます。
でもやっぱり“若い頃一夜を共にした女性”に再会させるくらいなら、フランチェスカを迎えに行って欲しかった…(それだと本編とストーリーが違っちゃうけど)と、複雑なオンナゴコロを(一応)抱えた私などは歯ぎしりをしてしまうのでありました。読者は断然女性が多いでしょうから、女性の視点をもうちょっと増やしてもらった方が売りやすかったかな。(というのは本屋としてのコメントです) |
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