版元が東京創元社だし、著者が松尾由美だし、これはミステリだろうと決めかかって読み始めます。(よりによって読み始めたときは酷い泥酔状態でした)ふらつく頭で読み続けると、マイナーロック同好会というちょっと地味なサークルの人たちが紹介され「評判のロックCDを仲間の家でみんなで聞こう!」という展開になるのです。あぁありがちありがち…と思いつつどんな殺人が起こるのかと思ったら、CDの中から飛び出してきた黒い天使に女の子の1人が刺されてしまうという事件発生!
あまりに不可思議な展開に泥酔頭がついて行かずその日はここでフェードアウト・・・
翌日頭がすっきりしたところで、この本がミステリたる所以なんぞを考えてみました。
警察が何を考えたとしても、読者の目にさらされている犯人は黒い天使。犯人探しという観点では謎にはならないので、ストーリーは“黒い天使って何なのか?”“どうして彼女が殺されなければならなかったのか?”“黒い天使の意味って何?”といったところで展開していきます。物語のあちこちをふわふわ飛んで歩く黒い天使のおかげで、すっかりファンタジー色が強くなっていますが、伏線は綺麗に絡み合い最終的にひとつの事実を照らし出していくのでした。これは立派なミステリでしょう。
しかしやはり、この小説は青春小説として読むのがいいんじゃないかと思います。先ほど書いたような謎を解くために、マイナーロック研究会の面々は立ち上がります。CDの前の所有者であるダグラス・サザーランドというあやしげな外人とか、ホモという噂のある学校の有名人、そして死んでしまった女性の妹などの存在が謎の量を増やしていくのですが、結局のところは登場人物たちの本当の自分探しに収束していくのです。逆の見方をすればこのストーリーとこの結末は若さゆえ…なのかもしれません。
そんな事を思いながら、いつしか年をとってしまったなぁともの悲しい気分になってしまったわけなのでした。 |