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| 2002/4/11 |
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『ダイスをころがせ!』
著 者:真保裕一 出版社:毎日新聞社
発行日:2002年01月 本体価格:1,800円
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新刊案内で書名を読んだ限りでは「あぁついに真保裕一もカジノの話を書いたのか〜『トライアル』で賭け事の話を書いていたしなぁ」くらいに思っていたのですが、実際のところは“青春選挙小説”でした。子役人シリーズで名を馳せた著者が代議士への道を描くという試みがまず面白かったです。
主人公は、元商社マンながら事業失敗の責任を押しつけられて会社を辞めてしまったコマケンこと駒井健一郎と、昔の親友で恋敵の天知達彦。新聞記者だった天知は理想と隠れた目的を胸に衆院選に立候補することを心に決め、就職活動中だったコマケンを助っ人に誘うのです。健一郎には家族もあるので、そのしがらみがいろいろあったワケなのですが、結局そのなかで覚悟を決め“それほど人生を過ごしたわけでもないのに、もう若くない34才という時代”を選挙戦と共に過ごすことになります。
健一郎が天知に口説かれるところがふりだしになって、すごろくを進むように選挙戦の模様が描かれていきます。まぁ順調な一歩もあれば、不測の事態や他陣営からのいやがらせなどで「一目もどる」こともありました。手弁当で無所属候補としてそして地元の不正解明もしつつの選挙活動ですので、地盤・看板・鞄とも不十分な選挙戦です。青臭さに首を傾げたくなるほどの理想は少し鼻につく感もあったのですが、その情熱が同級生の心を溶かし、街の人の熱意を呼び起こし、マスコミを動かしていく…そんな様にいつしか引きこまれていました。なんだかんだいっても、選挙ってお祭りみたいなものなんですね。時間もお金もないけれど、政治に対する熱意がある。その熱意で自分の存在感を再確認できる。ふと楽天ブックスのスタート前を思い起こしてしまいました。
意外にあっさりとしたラストだったので、ちょっと物足りなさが残りました。そのかわり、もともとが週刊誌連載小説だったこともあり、各章各章に見どころと盛り上がりが必ず詰め込まれているのが特徴です。取材に定評のある真保さんらしく、細部まで書かれているのでこれから選挙に出てみようかと思う人にはサブテキストとしても使えそうな気がします。選挙小説なのでしょうがないのだけれども、私は2人を恋敵にしてしまったあのひとの事をもうちょっと読みたかったな。 |
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【楽天ブックススタッフ 瑞】 |
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