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| 2002/3/20 |
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『天才数学者たちが挑んだ最大の難問 フェルマーの最終定理が解けるまで』
著 者:アミーア・D.アクゼル/吉永良正 出版社:早川書房
発行日:1999年05月 本体価格:1,800円
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1993年6月、「フェルマーの最終定理」が証明されたというニュースが世界中をかけめぐりました。350年来だれも証明できなかった定理がとうとう証明されたという、特大のニュースでした。本書は、その解決にいたるまでの数学者たちのドラマを一般向けに紹介したものです。
「フェルマーの最終定理」というのは、「Xn+Yn=Zn がなりたつような自然数(1以上の整数)は、nが3以上のときは存在しない」というもので、とてもシンプルです。中学生でもわかる内容であり、「驚くべき証明を発見したが余白が狭すぎて書けない」とフェルマー自身は記しているのに、以来300年以上誰も証明できなかったことで、広く知られていた定理です。中学生でもわかる、というのは大切で、たとえば夜空の星を見て、「あの星は気の遠くなるほど遠く、何万光年もかなたにある星なんだ」とロマンを感じて天文学者を目指すように、「自分がこの定理を証明してやろう!」と数学者を目指すような、現代の発達した数学にしては珍しい象徴的な定理だったと言えます。
しかし、見た目の簡単さに反してこの定理は手ごわくて、どうにか証明しようとする過程で、数学のいろんな分野が発展してきました。日本人も大きく貢献しています。「志村=谷山予想」というのがあり、「志村=谷山予想が正しければ、フェルマーの最終定理は正しい」と、1990年に証明されました。もちろん、これだけでは、1階があるものとしてそのうえに100階建てのビルを建てたようなものなのですが、その1階部分を最終的に完成させたのがワイルズという数学者だったわけです。
ワイルズ自身、10歳のときに、フェルマーの定理を解決することを夢見て数学者を目指しました。一度はその夢をあきらめたものの(そりゃ、証明に失敗した数学者は山のようにいるのですから)、ある日、また取り組むことを決心します。それからは、功績を盗まれないよう、ほぼ一人でこっそり研究を進め、とうとう6年後(6年です、6年!)証明を完成させます。一度はその証明に穴が見つかったものの、さらに約1年半後、穴を埋めたときには、今度は完全なものとしてはれて数学者たちに認められました。
「ワイルズの偉大さは、すべての数学者が今世紀中には証明できないだろうと信じていたときに、確信を持ってその証明に努めた点にあった」とはワイルズを評するある数学者の言葉です。しかし、同じように考えて討ち死にした数学者は数々いたことでしょう。その中で、6年かけて、あきらめかけたときもあっただろうに、最後まで完成させた、その数学者たちのドラマに私も熱いものを感じるのでありました。 |
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【楽天スタッフ 笑】 |
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