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| 2002/12/26 |
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『パーク・ライフ』
著 者:吉田修一 出版社:文藝春秋
発行日:2002年08月 本体価格:1,238円
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真黄色な公園に赤い気球が上る表紙に、お気楽なイメージを持ち、たまにはマトモな本でも読んでもみようかと手にした本でした。
人は人生の中で、どれほどの出会いを描いていくのでしょうか。
産声を上げて生まれ、言葉を憶え、親や兄弟の愛情を知り、大切な友や、愛する人との出会いを繰り返し、長い年月を育くむ中で、振り返るには多すぎる出会いや思い出は、胸に詰まるものもありますね。
忙しさにかまけて、つい見落としそうな日常の中の出会いに気付かせてくれます。僅かな時間の恋も、決して特別なことではなく、誰もが味わえる偶然の産物なんだと。毎日通勤する電車の中で、ちょっと気になる人が誰にでもいるんじゃないでしょうか。(学生時代の頃を思い出してしまいました。。。)
そんなほろ苦い思い出と共に、日常の忙しさの中で気付けないことを気付かせてくれたような気がします。毎日毎日、あくせくと忙しく働きまわり見落としていたこと、毎日変わりない同じ風景でもほんのちょっと見方を変えると、とても大事なことを知ることができるんですね。ホントたまには公園のベンチでサボりたい気分になります。
ドラマチックな出会いも、決して特別なものではなくて、ひょっとしたら、普段何気なく接している隣のあの人にも、突然に訪れるような気がしたり。仕事仲間と思っていた人が急に気になったり。。。そんな余裕をもって仕事したいですね。それこそ、この物語のように、事故で止まった電車の中で思わず声をかけてしまうなんてことがあったりしないかしら。。。名も知らぬ人でも、小さなきっかけに愛情を憶えたり、長く付き合ったあの人でも、一瞬の出来事が新しい出会いを与えてくれるような、そんな、がんばっている人に喜びを与える、人生まだまだ捨てたもんじゃないと、ひと時の癒しさえ感じさせてくれる風景が思い起こされました。
物語は、ふと訪れた日常の中の偶然の出会いがもたらしてくれた淡くはかない恋物語ですが、都会のど真ん中で、ちょっとしたアクシデントに声をかけられた言葉は、溢れかえる日常の中で強く生きる、ちょっとした勇気も教えてくれます。今出会ったことが、最高の喜びとなるべく、信じることを憶え、その想いが続く限り、信じることができる限り、物語が続いていくような気がします。
とかく、夢や希望なんてことを忘れがちになる日常ですけど、ドキドキやワクワクはいつも忘れたくないと思ってて。それが、大切と想えるあの人に対する想いであればなお更、大事に、壊れないように育みたいと思えるのではないでしょうか。
来年も、もっと良い出会いを重ねていける、そして、今年の出会いがもっと深くなる良い年でありますように。 |
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