化粧品業界って、こうなのでしょうか。のっけから、パリのカフェのテーブルで沙美が頬づえをついているところから始まったりして、思わず反感を感じてしまった私は、自分の小市民度をまんまと自覚させられたのでした。広告代理店に勤めていた沙美が仕事に行き詰まって、休暇を取ってパリにやってきたところ、ステキな男性とばったり出会い、それが外資系化粧品会社チーフ・ディレクターの田代だったという、ほうらどうだと言わんばかりの展開でした。
沙美はPR担当として引き抜かれ、いろんな女性誌の編集部を回ったり、プレス向けのパーティを開いたり、そんな毎日です。やっぱりマスコミの力っていうのは強力で強力で、それはときに暴力的なほどですから、どんなキャッチでどれだけの大きさで取り上げられるかで、全然売れ行きが違うわけです。記事の大きさを定規で測ってPR担当者の評価を決める会社もあるという、シビアな世界です。その分、編集部側の力、特に売れてる雑誌の力は絶大で、横柄な編集者もいるし、それに取り入る必要もあるし、という、まあ、それはどこの世界でも同じことなのでしょう。反面、売れなくなった美容ライターは相手にされなくなったり、これまた扱いがはっきりしています。
編集部には、段ボールいっぱいの化粧品が届くそうです。でもそれで取り上げてもらえるなら安いものです。そんな高級化粧品を思う存分ふんだんに使える編集者たち。彼女達はそうして、いいものも使えて、まわりにも刺激されて、最初はあかぬけなかった人でも、だんだんキレイになっていくと、そう書いてありました。やっぱりいいものはいいんでしょうか。ほんとに「違いを実感」できたりするものでしょうか。(と書いたら何かもらえるほどの力は私にはありません)
業界の内幕話が最重要テーマであり、それに、30を過ぎて仕事に没頭しながらこれでいいのかと自問する沙美の生き方を織り混ぜた構成だと感じたせいか、なんとなく、人物像の深みに物足りなさも感じました。特に、田代は、終わりのほうではただのスケベになってしまったような気がして、やっぱり彼には最後までステキな男性でいてほしかったなーと思ったり。そうは言っても一気に読めたのは、華やかなコスメ業界の裏をのぞき見るのが面白かったせいでしょう。(ああ小市民)
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