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| 2002/12/16 |
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『依頼人は死んだ』
著 者:若竹七海 出版社:文藝春秋
発行日:2000年05月 本体価格:1,762円
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『悪いうさぎ』のハードボイルドぶりで私を魅了してくれた葉村晶と久しぶりに会うことが出来ました。葉村さんの初登場は『プレゼント』ということで2作目となりますが、9作の短編で出来上がった短編集です。(読む順序は逆になってますね)相変わらず不運な人は不運で、男運の悪い人は相変わらず男で苦労して(ぐさっ…)、ケガの絶えない人はこちらでもケガだらけと、そんなところが面白かったです。前回読んだ『悪いうさぎ』は長編だったので、フロスト警部ばりのドタバタぶりが印象的でした、今回それは薄れたモノの事件への巻き込まれっぷりぶりは見事です。
全般的に後味の悪い話が多くて、また読者に結末をゆだねるところが多いのが特徴です。それはそれでいいんですが、不幸続きの晶とその仲間たちには、きっちりしたハッピーエンドを用意してもらいたかったかなという気もしました。まあ、気分の問題ですけどね。
初出雑誌が多岐に渡っているにもかかわらず、話が綺麗にリンクしあって最後の書き下ろし一編でうまくまとまっています。探偵小説ではありますが、登場人物の心理に踏み込み複雑な心をあぶり出しているところはシリーズを通じて心を引きつけられるポイントではないでしょうか。何よりも葉村が自分と似たような年齢で、似たようなことに憤りをおぼえて、悩んで、というあたりに感情移入するところが大きかったです。ため息。
読み終わってどことなく重苦しい気分が続いています。作品的にはそこそこ面白かったのですが、師走の慌ただしさのなかでストレス解消を求めるために読書をするにはオススメできないかも。ささやかな悪意が、大きな悲劇を生み出す…一番怖いのは人の心なのかもしれません。 |
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【楽天ブックススタッフ 瑞】 |
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