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| 2002/10/24 |
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『撓田村事件』
著 者:小川勝己 出版社:新潮社
発行日:2002年10月 本体価格:1,900円
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なんか、やたら仰々しいタイトルが印象的です。遠近法…なんてキーワードが入っているから、本格っぽい話かしらと思ったら横溝正史系でした。金田一耕助が出てきそうです。そもそも小川勝己という人は残虐でちょっとクレイジーな小説を書く人だと思って認識していたんですが、もともと横溝正史賞作家なんですね。ついでに調べてみたら『金田一耕助に捧ぐ九つの狂想曲』(未読)というアンソロジー集にも愛の遠近法的倒錯というタイトルの作品を発表しているようです。これがどういった内容なのか非常に興味があります。
で、私が読んだものは長編推理小説でした。撓田村という辺鄙な村で残虐な殺人が起こって、それがどうやらある怪奇伝説に見立てられているらしい…相次ぐ行方不明者、謎の人物…と、あの雰囲気を目の前に再現してくれています。と、書いていて実は金田一耕助ものを2時間ドラマでしか見たことのない自分に気づいたので、文学的な比較は止めて素直に感想を書いてみることにします。
まず、この村に君臨する名家の老婆が行方不明になっています。家の血を絶やさないように迎え入れた親戚というのが第一の犠牲者である桑島佳史です。殺されて木の上に運びあげられて、下半身を切られていたという残虐さが村を恐怖の底に落とし込みます。特に被害者が転校生で人気者だったこともあって、子どもたちの人間関係に及ぼす影響も大きかったのです。不信と恐怖が蔓延した村はどうやって救われるのか?一方村人たちの男女関係も微妙なようで(私にとってはこちらのゴシップ的なストーリーの方が興味深かった…)次から次へと読み手を飽きさせない仕掛けがいっぱいでした。
面白かったんですけど、登場人物の濃さが相殺されてインパクトが弱くなってしまっていたのが残念です。特に探偵役なんかはもっともっとくっきりとした輪郭が見えてきたらよかったかと。個人的にはなぜか倉知淳さんが書く猫丸先輩とイメージがだぶって仕方がありませんでした。これはなんでなんでしょう?あと、警戒して読んだ割にはエグさがそれほどでもなくて(私としては)良かったです。飛び散る血、生首、切断された遺体…なんてことは日常のニュースでも散々聞かされる物騒な世の中になってしまいましたもんね。事実は小説より奇なりという言葉が聞かれる昨今、気持ち悪い・怖いという体験を読者にさせるのも一苦労ですね。 |
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