そもそもブランド品に興味がほとんどない人間なので(そういうものをおねだりしたこともあんまり無いからきっと経済的なオンナだと思います。)高級ブランド名を言われてもピンと来ません。でも、この本に出てくるブランドはそんな私でも知っているような老舗・大手ばかり。ルイ・ヴィトンとクリスチャン・ディオールやタグホイヤーやヘネシーが全部同じ会社の傘下にあるという話に興味を持って読んでみました。
オビに「ヴィトンもディオールもセリーヌも、一人の男の手の中にある。」と、書いてあります。勝手な私のイメージの中では一人の男っていうのはマフィアのボスみたいな存在になっていました。ところがどっこい、それはベルナール・アルノーという大変合理的で戦略的な頭脳を持つ経営者なのです。彼が、老舗や大手のブランドの買収を重ねてLVMHという一大帝国を築いていく様は見事としか言いようがありません。
日本経済新聞社から出している本なので、メインの視点はビジネス、それもブランディングです。ですが、本書の多くはブランドとデザイナーの歴史を語ることに費やされていました。たとえ時代と名前を確固たるものにした主要ブランドであっても、いつかは若返っていかなければならない…とはいえ、特にオートクチュールなどでは大きな改革は昔ながらの顧客の反発を招く…と、デザイナー登用には悲喜こもごものストーリーがつきまといます。日本人の名前も何人か出てきますが、高田賢三さんが作り上げたケンゾーブランドがLVMHの傘下に入り、でも結局はそりが合わずそこを飛び出ていくという話は特に興味深く読めました。
惜しむらくは、デザインの絵や写真がほとんど無かったことです。権利関係上難しいとは思いますが、これがあったらより視覚に訴える本になったのに残念です。
天は二物を与えずとは良くいったもので、デザインの才能を持つ者が経営やマネジメントまでの青地図を描けるわけではありません。安定した経営の元でデザイナーの才能を開花させ、思う存分発揮させてあげることが本当に重要なようです。(たまには失敗例もあるみたいですけど)そういう理解があるからこそ、ルイ・ヴィトンの鞄は未だ大量生産ラインに乗らず人の心をくすぐり続けるんだなぁとよく分かります。カタチは違うけど、その昔芸術家にパトロンがついていたようなものかもしれませんね。
日本人のブランド好きは世界的にも有名な話になってしまいましたが、せっかくだから一つのファッションを取り巻く状況を知って自分の持ち物を見直してみるのもいいかもしれませんね。あ、そう、そんなこんなで日本はターゲットとしては主力な市場になっているので「日本で売れる製品を作りたい」という指示の元、気鋭のデザイナーが日本の街を歩いて流行を体感するような事も多くあるようです。あなたの服をじっと見ている人がいたら、その人はもしかしたらここに出てきたデザイナーの一人かもしれませんよ。 |