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読書日記 2004年3月31日更新
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2002/1/31
『騙し絵の檻』

著 者:ジル・マゴーン/中村有希
出版社:東京創元社
発行日:2000年12月
本体価格:660円
2001年のベストミステリを選ぶ場にほとんど選ばれた海外ミステリの中のひとつがこちら。主人公のビル・ホルトは無実の罪を着せられ16年間ものあいだ刑務所に入れられていました。そして仮釈放後真犯人探しをはじめます。彼を罠にはめたのは誰だったのか?真犯人探しと復讐に燃える日々を描いた物語なのです。

孤独に戦うホルトは新聞記者のジャン(女の子ね)の助けを得て、16年前のその時の真実探しをはじめます。もともと登場人物はグレイストーン社という役員連中なので、人数が限られていて驚愕の犯人の登場はありません。昔の事実を掘り出してどれだけすごい展開が作れるのか疑問に思いつつ読んだものの、終幕のさりげない(でも衝撃的な)視点の切り替えは本当に見事。仕事をやっているとPDCAサイクルという言葉を耳にたこが出来るくらい聞かされます。仮説→実行→検証・・という一連の流れが次々と物語の中で行われていくところが面白かったですね。次々と浮かび上がる疑惑を潰していく2人の捜査方法はパズル的な要素をきちっと押さえていると思います。

ホルトが殺した事になっている人間は幼なじみのアリソンと私立探偵のオールソップの2人。よりによって人妻であるアリソンとの情事(それもその時が最初で最後の)を見られたという事が引き金になっています。だからより口には出せないことと公に出来ないことが多く、ホルトによる確認作業はアリバイを確認すると共に登場人物たちの恋愛問題へも踏み込んでいくのです。しかし、注目すべきはジャンの存在でしょう!登場人物が良く描けている小説でしたが、ジャンの点に関しては彼女の目の輝きが見えるようでした。

ジャンは新聞記者として収監される寸前のホルトを見ています。そこで無実を訴える彼を見たため、犯人探しに協力したいと申し出ます。たったそれだけでこんなに人に協力できるものなのか?と思えるほどの献身さと懸命さに胸をうたれました。こんなに素敵な女性がいるのに、ホルトには復讐しか目に入らなくてジャンを傷つけてばかり。馬鹿とののしられ、追い出されても彼を想い続けるジャンが本当にいじましいです。出ていったあとになってジャンのことを未練がましく思い出すホルトがじれったくてじれったくて、歯ぎしりしっぱなし。名ミステリを恋愛小説として読んでしまった感がありますが、謎解きの面白さは保証しますよ!
【楽天ブックススタッフ 瑞】


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