単行本が出たとき(1998年)まずは、装丁の奇抜さに驚かされました。黒地にかぶさる黄色と白の帯が珍しかったと共に、的確にタイトルを表していることに感心したものです。さらには“このミス”に選ばれていたり、直木賞にノミネートされていたり、何かと私の近辺を賑わしていたためぜひとも読みたい一冊でした。
どんな話かと意識しないで本を開く私の前に、レイア姫と侍女らしき会話が飛び込んできます。「レイア姫?スターウォーズか?」なんて突っ込みを心の中でしたかどうかは別として、レイア姫が盲目であることや、父である王と暮らしていること、何らかの事情によって幽閉されていること・・が明らかになってきます。全てレイア姫の一人称で語られる物語なのですが、だいたいもって一人称の小説には経験則的に騙されることが多いものです。よりによってレイア姫は盲目ですから全ての情報は目以外から入ってきたものなのです。
父は優しく、ダフネは意地悪。階下にいる「兵士」に見つかると魔女として殺される。父は国王なので、たびたび出掛けなくてはならない・・などなどが幼いレイアの言葉を通して語られていきます。彼女は非常に高い知性を兼ね備えていて、スポンジの用にいろいろな知識を吸い込んでいくのです。しかしながら、読み手の私ははどこからか歪みを感じるようになってきました。何だかわからないのですがどこかがおかしいのです。もしかしたらファンタジックな中に垣間見える同時代性だったのかもしれないし、レイアの前に広がっていた光の世界に迫ってきたかすかな闇を感じたからかもしれません。とにかくそのささやかな歪みの書き方に筆力を感じました。
これ以上書いてしまうとまたネタをばらしてしまうのでこの辺で止めます。ここまで読んでいただいた方に今更言うことではないのですが、この本はぜひとも先入観なしで読んでください。
レイア姫にとっての光と闇とはなんだったのか、じっくり考えさせられます。解説を読むとリドルストーリーとしての読み方もされているらしいですが、とにかく上手いなぁとため息が止まりません。 |