高校の国語の試験で出てきて、心を奪われたシリーズ第二弾。
「切子皿」は『受け月』の中に収容されている一編で、そのさらに一部が同じく小説分野に出題されていました。全部で30ページほどの短いストーリーですが、重みと質は十分です。とりあえず、テストが終了後、クラスの誰もがこの文を褒め称えました。「泣きそうになった」と・・・!私もまたそう思った一人で、すぐに全文読もうと図書館に走りました。
孫の誕生をきっかけにしての不器用な父と息子の久しぶりの再会。ほんの数時間の中に込められた二人の思いは文字を介して、心に痛いほど響いてきます。
山場のシーンは特に、台詞などがないにもかかわらず、リアルで複雑な感情が伝わってきます。父と別れ、一人列車に乗り込み、ビールをすすりながら、窓の外の家の明かりを見つめ、父がいて、母がいて、笑い声の絶えない幸せな家庭を思い浮かべる主人公。「だが、そんな風景などありはしなかった。」と過去を振り返る。過去と父親を恨む主人公。そんな二人の再会のストーリー・・・。
幸せと家族、言葉では言い表せない複雑な思いをうまく描いた一冊です。またまたちなみに、この文も心を奪われすぎて、小説分野で、過去最低の国語の成績を出したことを記憶しています。 |