あぁ・・ついに禁断の道に足を踏み入れてしまった・・・
というのは冗談で、これを手に取ったのは深い理由があります。この本、いわゆるやおい本(当サイトのくくりでいくと耽美小説)です。言い訳するのも見苦しいですが、別にそういう趣味があるわけではなく、この小説の舞台が問題なのです。
開いてみると目に飛び込んでくるのが、扉絵。絵の女の子が持つのは、どう見てもなじみある日販の段ボール箱!そう、この本は書店を舞台にしたボーイズラブ小説なのです!!開いてみると、物語は主人公の青山君が法律書の帯で手を切るところから始まります。それに続き、学参期の辞典を任されている青山くんは品切れ間近の広辞苑に頭を抱えます。ここで、ピンチを救うべくあらわれたのが恋のお相手の望くんです。彼は先輩の青山くんが愛おしくって可愛くって仕方がなくて、おっかけでその書店に入ってしまったという強者。ということで、二人の恋模様が始まります。
恋模様はさておき、本にかかわる人間ならば一度は思ったことのあるつぶやきが全編にちりばめられています。 ・・・月末は新刊ラッシュで、何種類もの本が毎日百冊単位で入ってくる。もちろん棚には収まりきらず、ストックだっていっぱいとなれば(こんなん一人でさばききれるかっ!!)と青山が心の中で悪態をつくのも仕方がない。・・・
なんていうセリフを読むと「そうだよねぇ」なんて深く頷いてしまうのでありました。
尤書堂本店にいた青山くんは、新店のオープンに伴い店長代理を任されます。そして、開店のドタバタで疲労困憊しきりながらも望との愛を深めて行くのでありました。しかしながら、このリアルな描写・・ただ者ではありません。開店のドタバタなんぞ、一度経験しなければ書けるものではないでしょう。全国主要都市に店舗展開をする老舗書店の尤書堂本店は地下2階、地上9階。そして仕入は地下2階。そんな書店はザラにあるわけではなく、私の脳裏にはとある書店がくっきりと浮かんでしまうのでありました。
もしかしたら、このモデルはあの人?とか、あぁこういう苦労ってあるのよねぇとか、本編と関係ないところでむちゃむちゃ盛り上がりつつ非常に楽しめました。書店人、出版社、取次の営業マンには是非おすすめ。かくいう私も実はH社のSさんから薦められたのです。ちなみにこの本には続編もあって(未読ですが)こちらは『一緒にいたねをたくさん』というものだそうです。楽天ブックスならブックカバーを掛けて完全包装でお届けします。 |