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| 2001/8/20 |
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『ドミノ』
著 者:恩田陸 出版社:角川書店
発行日:2001/07 本体価格:1,400円
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読み始めたと同時に押し寄せるのは、様々な人模様。1〜2ページくらいの短い文章が7月末の慌ただしい時間を伝えていきます。息をつく暇もないその人の洪水でちょっと唖然とさせられましたが、これぞ東京駅の雑踏なんですね。上野駅がお上りさんの終着駅でなくなった今、押し寄せる人並みにごった返す東京駅八重洲口近辺の賑わいが目に浮かぶようです。ついつい登場人物の多さにメモを取ってしまうなんて人、ご注意です。読んでいればわかりますから我慢して物語のスピードに身をゆだねてみましょう。
登場人物をちょっと紹介。まずは関東生命八重洲支社の面々、月末の追い込みで一億円の契約が入るか入らないかの大詰めを迎えています。でも、肝心な営業部長が戻ってこない・・・殺気立つ会社。OLさんたちに差し入れをするために元柔道少女の田上さんが走り出しました。次は麻里花ちゃん、チャイドルを目指す彼女はミュージカルのオーディションを受けます。受かるしかない!彼女の運命やいかに?ってな調子で次から次へと人が登場。そう、まさしくドミノが並んでいくかのようです。
登場人物たちを交差させるのは名店“どらや”の紙袋でした。たまたまの入れ違いが引き金となって、並べられたドミノが倒れ始めます。最初はゆっくりと、そして次第にスピードが加速していきます。倒れつつ、しかしまだまだ駒も並べられていく中盤の勢いには息をのんでしまいました。まさにジェットコースター展開。一気に読ませます。もちろんプロットは非常に絡み合っていて、終盤に向けて糸に絡めとられたかのように登場人物が東京駅へと集結してきます。
ただ単なるドタバタ劇に終わらない、すごいエンターテイメント作品だと思うのですが、それにも増して、毎回毎回いろんな手法にチャレンジする恩田さんの意欲に敬服という感じです。今回はコメディタッチだけあって「おいおいそんなわけないだろっ」と突っ込みたくなる無茶な展開も面白さの一因。中でも、地味なOLが実は元は暴走族を束ねていた姉御だったというくだりと、その仲間によって繰り広げられるアクションシーンは圧巻です。スピードのある文章なので、電車の中で読むと乗り過ごす可能性大かもしれませんよ、ご注意下さい。 |
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