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| 2001/7/4 |
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『仮想の騎士』
著 者:斉藤直子 出版社:新潮社
発行日:2000/12 本体価格:1,400円
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これは日本ファンタジーノベル大賞の優秀賞受賞作です。そして、舞台は1750年ころのフランス。と書くと、何となく重厚なイメージがあったのですが、手にとってみると以外に短い。(どうしても佐藤賢一のイメージで長くて重い本を想像してしまうんですねぇ)
話は、あるつぶやきから始まります。
「もう、ええっちゅうに」
突然の関西弁です。すぐさま私の元上司を思い出しましたがもちろんそうであるはずはなく、言葉を発したのはなんとカサノヴァ。女たらしでいい男のはずのカサノヴァのイメージはこの一言で、すっかり庶民的なものになってしまいました。全編通じてイタリア訛のフランス語が関西弁に翻訳されているあたり、極めてお茶目な小説です。
しかし、こういったウソの大風呂敷がファンタジーノベルの面白さ(だと、私は思ってます)ですので、ぐいぐいと読み進めます。カサノヴァは話の流れから、とても美しい騎士に出会います。彼が主人公の「仮想の騎士」デオン・ド・ボーモンです。彼はルイ15世の密使としてロシアに渡り、女帝エリザヴェータとの交渉に成功したというすごい人物です。話は彼を中心に周囲の人物を巻き込んで盛り上がりを見せ始めます。
ルイ15世、ポンパドール夫人、メスメルにサンジェルマン伯爵とどこかで聞いたような人物が総出で話を盛り上げているのが壮観でした。作り話という事を忘れて没頭するあまり、現実がなんなんだかわからなくなってきました。誤解のない歴史知識のためには世界史の教科書を読んで軌道修正しなければなりません。
登場人物がわかりやすいキャラクター化されていて、同人誌的なノリがあるところがこれまた特徴的ですね。広がる妄想は止められず、ちょっと終幕にワルノリしすぎじゃないかと思うところもありますが、ここも受賞作でのデビューという将来を感じさせるところで良いのではと思っています。次作が楽しみですね。 |
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【楽天ブックススタッフ 瑞】 |
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