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読書日記 2004年3月31日更新
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2001/7/31
『月狂ひ』

著 者:小池真理子
出版社:新潮社
発行日:2000/10
本体価格:1,700円
先日の読書日記で登場した『不倫の恋で苦しむ男たち』が秘かにブレイクの兆しです。発売と同時に、衝撃的なタイトルに引かれてちょこちょこページには載せていたのですが、反響が日々増加中。驚きました。せっかくなので、パラパラと中身を読んでみることにしました。ちょうど同時に読んでいたのがこの『月狂ひ』。女性編集者の千津は、短編の編集作業をする中で著作権継承者の倉田柊介と出会い、恋に落ちます。ふたりとも互いに結婚をしている身なので、秘めた仲としてふたりの関係は続いていきました。千津の母親という人は、不倫の末自殺したという経歴があって千津は関係を続けながら親子の血の繋がりに縛られる自分を不安に思うのです。

千津は倉田に会った瞬間、恋に落ちる自分を感じます。いけないと思いつつも歯止めがきかなくなる自分を押さえられない。そうは言いながら、恋する楽しさに酔ってしまう。ゆれにゆれる千津の心にいつしか自分が同化していくようでした。千津の視点で書かれているため、倉田の想いは今ひとつ伝わって来なかったのですが『不倫の恋で苦しむ男たち』が理解を助けてくれました。(というより、増幅させてくれました)

道ならぬ恋に落ちたふたりの隠れ家は鎌倉の家。鎌倉+不倫=『失楽園』というイメージがありますが、千津と柊介の性愛表現は非常に嫌らしさがなく、読んでいて辛くなるくらいどこか理知的なのです。それなのに、ふたりを取り巻く景色や月の光がものすごく艶っぽく書かれていて映像的に美的です。ゾクゾクしました。千津も倉田も50を前にした年齢です。ふたりとも若くない、分別もある、そして先も見えている。なのに死をも意識したような強烈な恋に落ちてしまった。千津の母親がした恋も、倉田の父親が残した『月狂ひ』という小説で描かれる恋も全てが凄まじい恋です。かたや自殺、かたや心中と決着が付いた過去の恋を同時に語りながら、現在進行形のふたりの恋はどうやって収束していくのか?気になってページをめくる手を止められなくなりました。

「人は50過ぎてから本当の恋が出来る」という文章を以前読んだ記憶があります。生きた証を残そうとする恋だからこそ烈しい恋になるのか、本当の恋になるのか、そんなことを考えています。恋心に引き裂かれそうになって苦悩する大人の男女ってたまらなく色っぽいですね。
【楽天ブックススタッフ 瑞】


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