『くまくまちゃん』が売れたとき、ある人から紹介され気になったままだった本がこれです。いつ読もうかと思っていたのですが、デュアル文庫から装いも新しくなって登場したのをきっかけに買ってみました。ぶたぶたは本名を山崎ぶたぶたといい、立派な名字があったとしても想像通りぶたです。それもぬいぐるみ。でも、刑事です。
新任刑事の立川くんは刑事になって初めての朝、胸をふくらませて登庁した春日署で上司(主任)を紹介されます。それが主任の山崎さん、ぶたぶたです。瞬間身も心も固まってしまった立川くんですが、周囲があまりに普通なので、ぶたぶたを何となく受け入れ、さっそく銀行強盗の現場に乗り込んで行くのでした。
ぶたぶたはぬいぐるみなのにコーヒーを入れるのが得意だし、同僚ととんかつを食べにいったりします。そんな姿を見て立川くんは(おいおい共食いじゃないのか?)なんて事を思ったりします。でも、瞬時に同僚の島さんに「共食いだったら、ぬいぐるみ食べなきゃ」と、見透かされた発言をされたりと、いつしかすべてぶたぶたペースで動いて行くのです。
ぬいぐるみの刑事だけに、普通は考えられないような活躍が出来ます。狭いシャッターの隙間から忍び込んでみたり、ぬいぐるみの間に混じっておとり捜査をしてみたり。腹話術のふりっていうのもやってみましたが、ちょっと苦手みたいでした。おとり捜査の時は、新品のぬいぐるみのあいだにとけ込めるように、洗濯され乾燥機にかけられるなんていう危険も犯しました。高性能の乾燥機は熱すぎてビーズの目玉が溶けちゃいそうだったそうです。
延々とほのぼのしたやりとりに彩られるこのお話ですが、実は幼児誘拐というシビアな事件が起こっています。事件に絡んだ人達は、なにげないぶたぶたのしぐさと言葉で笑顔になって行くのでした。そんな本を読んでいる私もいつの間にか口元をゆるめていました。ぶたぶたの世界はそんな世界です。
ところで、ぶたぶたは奥さんと子どももいるんだそうです。事件は決着したものの、奥さんと子どもは一体どういうモノなのか?最大の謎は残ったままです。あぁ、早く他の作品読まなきゃ・・・ |