宮部ファンなので、宮部みゆきの本は読み漁って来ましたが、ぼーっと検索をしていたところ引っかかったのがこちらの本。リレー小説なので、中に作品が収録されていたことに気付かなかったのです。
リレー小説というと「面白いのだけれどご都合主義から離れられない」というあまりよろしからぬイメージがありました。しかしながらこれは面白かった!そして、みんな上手い!ちなみに筆者は中村隆資、鳴海丈、火坂雅志、宮部みゆき、安部龍太郎、宮本昌孝、東郷隆の7名。恥ずかしながら宮部さん以外の方の作品は読んだことがなかったので、良い初体験になりました。
物語は、名人が作った刀“のきばしら”の誕生から始まります。自分の銘を入れるかわりに『軒』という文字を入れた剣は時代を超えて受け継がれていきます。誕生が鎌倉時代なのですが、将軍の暗殺に使われたり、人切り以蔵の腰にあったりと、手に取る人(それも有名人ばかり)すべてを翻弄していきます。そうやって血をすってきた剣ですが、扱う人によっては非常にすっとすがすがしい剣にもなったりもするのです。千利休はその中にある美に魅了されたようでした。
こうやって紡がれた物語は最終話『残欠』(東郷隆)へと流れていきます。舞台は敗色が濃厚になった日本。ある意味で、刀の時代の終焉でもあります。この時代に“のきばしら”を手にしているのは児玉少尉という人。血塗られた生涯を送ってきたのきばしらも、そろそろ命の終わりを迎えようとしていました。運命の剣は最後に何を切るのか・・このテクニックは唸らずにはいられませんでした。
他の作者がどっぷり時代物を書いているのに混じって、宮部さんのちょっとしたホラータッチというかSFタッチは非常に新鮮でした。もう一度こういう企画があったら是非とも読んでみたいと思える良い作品でした。 |