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| 2001/6/26 |
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『陋巷に在り(11)』
著 者:酒見賢一 出版社:新潮社
発行日:2000/09 本体価格:1,500円
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出たところからずっと読んでいるこのシリーズも遂に11巻になっていました。1年に1冊ですから、すでに11年が経過したことになります。過ぎ去った時を想いちょっと涙が出そうになりました。
小説新潮での連載なのでこれを読んでいればずっとつながりで読めるのですが、私はまとめて単行本派です。このため、本を開いてしばしは今までの物語の流れがどうだったのかを思い出すことから始まります。そういえば、10巻の終わりは孔子出生の秘密が語り始められたところでした。
孔子の母親は徴在といって、尼丘の邑の太長老の娘です。ですが、諸般の事情から絶縁させることとなった人物でもあります。話は太長老がz、にその想い出を語るところから始まりました。はるかに年の離れた男と、周囲に望まれない結婚をして孔子を生み、逆境の中で育てていく徴在の姿には感想の言葉を失います。まるで、信念のみに向かって生きるまっすぐな顔が見えるようです。孔子が生まれてからも貧乏な生活は続いて、結局徴在の体は病魔に蝕まれていきます。でも、孔子はその頃には天性の才能を持って礼を身につけていたのでした。
この巻では、孔子を育て顔回を育てた尼丘に大きな敵が迫ります。まずは悪悦、うまく處父を言いくるめて大量の兵とともに尼丘をつぶしにかかるのです。それから子容も重大な役回りを演じています。しかし今回は顔回の登場場面は非常に少なくなってます。
魑魅魍魎が跋扈し、呪術やシャーマンが大活躍のこの話。いま、『陰陽師』が何かと話題ですがそれに並ぶ面白さがあります。私が酒見さんの小説に出会ったのは『後宮小説』が初めてでしたが、中国の歴史という舞台の上で縦横無尽に想像力を広げる作風にとたんに虜になりました。陋巷に在りは大河小説の域に入ってしまったので、ちょっと取っつきづらいかもしれませんが、興味のある方は是非『後宮小説』をお読み下さい。きっと夢中になれると思います。
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