楽天市場
ブックス
楽天トップへ
買い物かご | my Rakuten | 総合案内所 | 楽天へ出店 | ヘルプ
本・雑誌・コミックトップ楽天ブックスあなたの書斎楽空間カフェギフト懸賞プレゼント オークションフリマ
1,500円以上で送料無料  ポイントが増えるチャンス!
 注文履歴  ポイント履歴・応募  お買い物方法登録
キーワードで検索 >>本の探し方  |  絞込んで検索 >>

読書日記 2004年3月31日更新
現在の日記の件数:727件

 最新の読書日記   バックナンバー一覧  カレンダー   
<<前日の日記へ | 翌日の日記へ>>
2001/5/28
『キャピテン・フラカス(上)(中)(下)

著 者:ゴーティエ/田辺貞之助
出版社:岩波書店
発行日:2001/02
本体価格:700円
久々に幸福な読書時間を満喫しました。本当に楽しい読書でした。2001年春の岩波文庫のリクエスト復刊。十九世紀中葉に書かれたゴーティエの手によるフランスの小説。岩波文庫の初刷は1952年と巻末にあります。岩男淳一郎さんの『絶版文庫発掘ノート』に、この作品についての一文が載っており、是非読みたいと思っていました。紹介によれば『プルーストが若き頃夢中になった』『フランスの剣豪小説』『痛快無類の面白さ』であるとか。そそられるではないですか。剣豪小説・・・という感じではなく、演劇小説?、いやジャンルなど問題ではない、浪漫あふれる愛惜しい物語。期待通り、いえ、期待以上の作品でした。ここのところ(嘘。ずっとです)忙しく通勤電車でもグッタリして、なかなか本を読むことができないながらも、全三巻、一週間で読み終えました。ところで、この作品は1835年に出版予告が打たれてから、実際に刊行されるまでに25年の歳月がかかったそうです。一週間で読んでしまったのは、申し訳ない気もしております。ともかく、読みながらずっとニコニコしっぱなし。旧字体での復刻版は、これまた風情があり、いいなあと、この大時代な物語と登場人物たちの心意気に酔っていたのです。

時はルイ十三世の御世。かつて第一回十字軍に兵を率いて従軍し、武勲を立てた由緒正しき貴族の名家シゴニャック家。数代を経て、零落の一途をたどったシゴニャック家は、もはや没落した田舎貴族そのもの。見る影もなく朽ち果てた館に暮らす、高貴なる血筋の末裔、シゴニャック男爵。貧しくとも、ガスコーニュの武人気質と、誇り高い貴族の志を失わずに育った、気高くも思慮深い青年。唯一の家来、剣術の指南役でもある老僕ピエールにかしずかれ、犬、猫、馬を友として、あたら青春を、崩れ落ちんばかりの館で暮す失意の毎日。満足な食事にも事欠く(さらにそれを犬や猫に分け与えつつ)、うら寂しく、希望もない日々を送っていたシゴニャックの館に、ある雨の振る晩、一夜の宿を借りに訪れたものたちがあります(このシーンの文章ときたら『この飢餓の旅籠に、肉食禁断の庭に、赤貧と節約の館に宿を求めているのは、はたしてどんな人間だろう』と、いちいち大仰で、微笑ましいのです)。果たして、訪れたのは、大八車を引いた旅回りの道化芝居の一座。この突然の来客をもてなしたシゴニャックに、すっかりうちとけた一座の面々は、その境遇を憐れに思い、一緒にパリに行くことを提案します。このまま、この朽ちていく館と運命をともにすべきか、家名再興のために、なんらあてのない都へと旅立つか。シゴニャックの気持ちは揺れます。

真面目で実直な貴族青年が、道化芝居の一座という「下賎な輩」の仲間に身を投じて、この先どうなるのか、と思う間もなく、やがて看板役者の不慮の死から一座を助けるため、その高い身分をかなぐり捨てて役者になってしまう急展開。芸名は「郷士(キャピテン)フラカス」。一座の演目『郷士フラカスの空威張り』は好評を得て、行く先々で歓待されます。一座の花、清楚で可憐な娘役イザベルとの恋の芽生え。イザベルに横恋慕する青年公爵、ヴァロンブルーズの悪だくみ。公爵の陰謀からイザベルを守るため、シゴニャックは得意の剣術で立ち回ります。一座の役者たちも皆、個性豊かで楽しい。ドジな山賊アゴスタンや、イザベルを慕う機敏な山賊娘シキタ。侠気あふれる刺客たち。天晴れの騎士道精神(これの功罪はさておき)、気高い貴族の誇りを持ちながらも奢らないシゴニャックの心の美しさ。シゴニャックとイザベル、互いを慕い合う想いは強くなるものの、所詮、身分違いの恋。募る想いが叶えられないもどかしさ。饒舌な役者たちの警句や、彼らが口にする演技論もなかなか興味深い。またその科白の面白さ。大言壮語で回りくどい、いや、豪華絢爛な修辞の数々。古き良き美徳が高々と謳われ、やがて迎える絵に描いたような大逆点と大団円。まだまだ続く「後日談」を、たまらなく幸福感に溢れた思いで読んでしまうのですが、もっと続けば良いのにと思ったところで、本当に物語の終わり。ああ、面白かった。実に通俗的で、決して文学的な大傑作ではありませんが、本当に楽しい作品です。解説によれば、1927年に映画化されているそうですが、見ることはできないでしょうね。こうした近代の「古典」にもまだまだ知らない作品は多く、どんな作品に出会えるかと期待しながら『フランス文学案内』などをめくりつつ、「検索」する日々です。
【楽天ブックススタッフ 知】


【読書日記】では、楽天ブックススタッフが自分たちの読んだ本を日記形式で紹介していきます。

新刊本・未刊本・絶版本。定番から変わった本まで、いろいろな本が登場します。ほぼ日替わり、何が飛び出すか、乞うご期待!
皆さんが読んだ本、良かった本、面白かった本も、私たちに教えて下さい。
お便りはrecommend@books.rakuten.co.jpまで



このページのトップへ

楽天ブックス トップ | ヘルプ | 買い物かご| 注文履歴| お買い物方法登録

ご意見、ご質問などは info@books.rakuten.co.jpまでお寄せください。
楽天BOOKSは SSL に対応しているので、クレジットカード番号は暗号化して送信されます。

Copyright (c) 2000-2003 RakutenBooks, Inc. All Rights Reserved.