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| 2001/4/6 |
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『反乱のボヤージュ』
著 者:野沢尚 出版社:集英社
発行日:2001/04 本体価格:1,600円
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涙腺が弱くなった回数3回。書くたびに良くなる作家だなぁというのが一番最初の感想でした。今回の舞台は某大学の学生寮。それも築65年というバンカライメージを引きずった強烈な学生寮です。むろんそんな学生寮が今の世の中受けるわけはなくて、大学側は廃寮運動まっさかり。対する寮側も負けてはいなくって女性闘士みたいな人がいたりもします。「おいおいいまどきこんなヤツいるのか?」なんて突っ込みを入れたくなったりもしますが、多分いるんでしょうね。
そんな寮生活に大学側から舎監、名倉が送り込まれてきます。いままで楽園だった寮に65年前の規則が持ち込まれ、ちょっとだけ生活が窮屈に。そしてメンバーにはいろいろな事件が持ち上がります。そんな度に寮生たちの心の支えになったのは、若い者を毛嫌いしているはずの天敵名倉でした。団塊の世代と、団塊ジュニアの心の交流。なんて書くと平坦ですが、自由と自律をはき違えている寮生たちがいつしか名倉に先導され、少しずつ大人になっていく姿が非常に魅力的でした。対する名倉もちょっと不器用で、でも誰よりも寮の事を考えてくれる人間に変っていく。寮と、懸命な学生を守ろうとするときにするちょっとした仕種に少々うるうる。また、もうひとりの「大人」食堂係の日高さんがいいんだなぁ。
私の母校(高校)はイマドキ珍しいバンカラ高校でした。私が通っていたときにちょうど旧校舎(木造校舎)の建替え運動をやっていたので、非常に懐かしいところがありました。確かに使いづらいかもしれない、見苦しいかもしれない。そんな中で満足する連中は相当の変わり者なのかもしれない。でも、その空気を吸ってみると絶対何か違った感想を持てるようになる。きっとこの寮もそんな空気を持ち合わせた建物なんでしょうね。昔が懐かしくなってまたまたうるうる。
野沢さんは映像の出の人だけあって(「眠れる森」とか記憶に新しいですね)色や場面が読んでいるだけでくっきり浮かんできます。ちなみにこちらの小説もTV化が既に決定しているとか。名倉のイメージぴったりの方が主演なさるようなので、こちらも今から非常に楽しみです。
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【楽天ブックススタッフ 瑞】 |
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