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| 2001/4/10 |
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『岡山女』
著 者:岩井志麻子 出版社:角川書店
発行日:2000/11 本体価格:1,300円
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『ぼっけえ、きょうてえ』はばりばりのホラーでしたが、今回の作品はちょっとユーモラスな雰囲気が漂っていました。(と、言って笑いながら読める本ではないのでご注意!)
妾の人生を歩んできたタミエは、ある日無理心中を図った旦那に顔を斬りつけられ左目を失います。むろん美しさは失われ、妾人生の継続は絶たれたのですが、左目を失った分タミエは不思議な力を身につけました。それがこの世にあるはずのないものを見える力でした。これを知ったタミエの両親はこれ幸いとタミエを霊媒師に仕立て、そこでおきるドラマを描くというのがこの話。
岡山の発展史みたいなモノも伺えて面白かったです。コーヒーが珍しがって飲まれたり、駅でのやりとりがあったり、ハレー彗星の話があったり、それにちなんだ人々が(それも相当怪しい人達)かわりばんこに登場する連作集でした。内容はもの凄くどす黒い人の怨念が書かれていて、死霊より生者の方が怖ろしい・・と言いたくなってしまう話が続くのですが、私にはあんまり暗い雰囲気で残りませんでした。もしかしたら、新しいもの・出来事にはしゃぎまくる市井の人の体温が感じられたからかもしれません。それぐらい「人間」が感じられる良い作品。
そうそう、先日生まれて初めて寄席というところに行ってきました。もちろん生落語も初めて。詳しいことは何にも知らず聞いた落語でしたが、人の語りわけの上手さってよくわかるものですね。ただ向きを変えてしゃべれば良いというモノではないのだなぁと妙な感心をしています。岩井さんの小説も同じ。物語にとけ込んでいくと、あちらこちらから死霊・生き霊の語りの声が聞こえてきそうです。 |
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【楽天ブックススタッフ 瑞】 |
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