横溝正史といえば、金田一耕助シリーズが有名で、犬神家の一族や、八つ墓村と言えば、その代名詞といえると思います。もちろん、これらの作品も十分に読み応えのある傑作ですが、金田一シリーズの中で最もお気に入りの作品は、と問われれば、迷うことなく悪霊島を上げたいと思います。
悪霊島は横溝正史の晩年の作品ですが、とにかく面白い。刑部神社の宮司の妻、巴御寮人の周囲で発生する殺人事件と、数々の失踪事件。「あの島には悪霊がとりついている」と言葉を残して息絶えた男が見たものとは何だったのか。
その真実とは、数多の怪事件・難事件を解決してきた金田一耕助にとっても、生涯忘れられないほどの猟奇的な光景であり、読み進めた読者にとっても、ちりばめられた多くの伏線と、見事なまでの物語の展開に、横溝作品の奥深さを実感させることと思います。終局へ向けての展開は、横溝作品の中でも長編に属する物語を、一気に読ませる力があります。
また、金田一耕助の良き相棒である磯川警部(野村証券のCFに出てくるのは等々力警部です)の過去の秘密も明らかになり、ファンにとってもたまらないでしょう。
1981年には、鹿賀丈史の主演で映画かされていますので、原作と映画の違いを見比べる、というのもおもしろいかと思います。主題歌がビートルズ(Let It Be)だったりするところは、本作品以上の謎ではありますが。
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