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読書日記 2004年3月31日更新
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2001/2/6
『漆黒の霧の中で』

著 者:藤沢周平
出版社:新潮社
発行日:1986/09
本体価格:438円
既に亡くなられた作家を好きになると、作品数が有限である、という事実にいつか直面しなければなりません。もっと読みたいという気持ちと、もったいないという気持ちの狭間で揺れながら、惜しみつつ読む。それもまた、至福の読書時間というところでしょうか。藤沢周平さんは、ドラマ化された作品にも「藤沢周平の〜」と冠がつく程の人気時代小説作家ですが、私は、昨年、遅れ馳せのマイブーム。とりあえず二十冊、といったところ。今年も継続して読みつづけています。ファンになって以来、同好の方たちとお話させていただく機会を多数得ましたが、皆さん、本当に愛惜しむように、藤沢作品を語られる。幸福な読書時間を共有できるというのもなかなか魅力あることと思いました。さて、本書は「彫師伊之助捕物覚え」シリーズの第2弾。うう、これも第3弾までしかないんだなあ。

かつて清住町の親分と恐れられた凄腕の岡引、伊之助。惚れ合って一緒になった女房おすみは、男をつくって逃げ、そのまま心中してしまう。裏切られた心の怒りと驚きをどうすることもできないまま、岡引を辞め、過去を隠し、昔覚えた版木彫りの腕で雇われ職人としての暮しを始める。静かな暮らしを続ける伊之助のもとに、その捕物の腕の確かさから、昔のよしみで持ちこまれる事件解決への協力の依頼。シリーズ第2弾の本書でも、奇怪な殺人事件の解明に、伊之助は、しかたなく借り出されていきます。何分、現役の同心や岡引たちが、ふがいないものだから、仕事の合間に、聞きこみ、張り込み。岡引の鑑札をもらわず、お上の威光によらず、己の姿勢を貫く道義心。やがて事件の背後にうごめく悪に、伊之助の中に眠っていた元岡引のはげしい闘志が奮い起こされていきます。孤独の影を引きずった、過去のある男、ただ、その心の中には正義感の静かな炎が燃えている。『大江戸ハードボイルド』たぁ、言い得て妙、というところでしょうか。

伊之助は、彫師の藤蔵親方の元で働いています。版元から廻ってきた版木の文字や錦絵の原版を彫る請負い仕事、言わばルーティンワークの勤め人です。時折、仕事を抜け出しては内緒で捕物をやっているわけですから、気難しい親方をごまかすのが、なかなか苦労するところ。伊之助を苦々しく思っている親方の仕事一途な姿や、同僚たちの仕事や家庭の愚痴、聞きこみ先の長屋の住人たちから偲ばれる生活感など、江戸市井の人たちの暮らしの情緒が、豊かな人間像の造形とともに、こまやかに描かれています。藤沢作品は、武家物にも面白い作品が多いのですが、ストイシズムによらない、純粋な人間倫理の美しさや、情の発露となると、やはり町人物の方が冴えているかと思います。昨年文庫化された最晩年の作品集『日暮れ竹河岸』は、余分なものが殺ぎ落とされ、深い余韻のみを残す、市井の人々の情緒の粋を集めた秀逸な短編集と思いました。新刊は期待できないものの、年齢とともに深まっていく作品世界を行きつ戻りつしながら堪能できる。多くの素晴らしい作品を遺して下さったことに感謝しつつ、一作一作、惜しみながら大切に読みつづけたいと思うのです。
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