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| 2001/10/22 |
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『ささらさや』
著 者:加納朋子 出版社:幻冬舎
発行日:2001/10 本体価格:1,600円
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やられました、不意打ちです。まさかこんな事になろうとは・・・いつもながらの日常の謎が書かれたハートウォーミングストーリーだと思って気軽に読み始めたのに、300P以降泣きっぱなし。それも号泣モードに近いくらいの涙量です。あぁ本当に電車の中でなくて良かった・・
物語の主人公“サヤ”の夫である“俺”は、新婚ポヤホヤ・生まれたばかりのユウスケを残してあっけなく死んでしまいます。でも、なぜだか意識だけがこの地に残ってしまって、自分の通夜から葬式、頼りないサヤの姿までをもじっくり観察する羽目になるのです。お人好しで世間知らずのサヤを守るため、“俺”は何かと言うときに人に乗り移って登場し、サヤに謎解き指南をして助けていくのでした。(ここまで読んで映画のゴーストを思いだしたのは私だけではあるまい)
のっけから死の描写がある割には、かなり明るくストーリーが進行していきます。一話目などは死んでしまった“俺”の視点で語られているし。サヤとユウ坊の寂しい暮らしが始まってからも、賑やかな三婆トリオが出現したり、ヤンママのエリカに気合いを入れられたりと、何だかコミカルな雰囲気。それは多分根っからの悪人が出てこないことも理由になるんでしょうね。
凶悪事件がないかわりに、裏にはユウ坊の親権争いという暗い問題が横たわっています。一人で頑張ってユウ坊を育てようとするサヤと、夫の実家の葛藤です。これが終幕に向け大事件を引き起こすことに・・・優しさが原因で人を傷つけてしまうこともあるものなのですね。サヤはそんな事件を通し、次第に強くなっていきます。それと同時に魂をもぎ取られるようなショックを受けた夫の死も乗りこえられるということに気付いていくのです。サヤの再生を優しく見守る夫の瞳は猶予期間の終わりを感じ、父親として・夫として最後の事件解決に乗り出すのでした。
謎解き色はそれほど強くないのですが、サヤの成長と永遠の別離までのストーリーは切なさと愛おしさがふんだんに詰まっていました。元来の加納朋子ファンなので相当贔屓目も入っているとは思いますが、他の人が読んでもかなりの感動を与えてくれる小説だと思います。それより何より幻冬舎さん、早く重版して頂戴〜 |
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【楽天ブックススタッフ 瑞】 |
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