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読書日記 2004年3月31日更新
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2001/10/2
『将棋の子』

著 者:大崎善生
出版社:講談社
発行日:2001/05
本体価格:1,700円
将棋というものを教わったのは小学生の頃だったと思います。が、なんだかやたらややこしいルールに辟易し熱中になることはなかったのです。そんな私が次に将棋に興味を持ったのは羽生善治さんの登場でした。あどけない顔が瞬時に勝負師の顔にかわる。真剣に考え事をする時のまなざしの虜になり、雑誌とかテレビとか食い入るように見つめたことを思い出しました。顔しか見ていなかったのでルールは相変わらず覚えませんでしたが・・こののちドラマの【ふたりっこ】で将棋が取り上げられて奨励会という所のルールを知ります。狭き門に覆い被さる年齢制限、これがこの本の舞台です。

各地の天才少年が奨励会のなかで挫折を知ります。生涯の夢が破れたとき人はどういう行動にでるのか?とドラマを見るようにとらえていましたが、全てこれは本当にあったお話。必死で勉強して司法書士になったり、海外放浪の旅に出たり、はたまた堕ち続けていたり。そんな破れていった天才たちを筆者の大崎さんは優しい眼差しで見つめています。

大崎さんも将棋の世界に関わって生きてきた人であり、そこに何人もの奨励会員が交差していきます。中でも大きなスポットライトが当たるのが成田さんという方です。この人は大崎さんの後輩で、小学生の時に大崎さんに天才像を見せつけたという経歴があり、その劇的な再会があったからこそ他の物語にも鮮烈な印象が流れ込んでいます。なかなか上に行けずに苦しむ奨励会員を脅かす谷川・羽生といった天才の恐怖は読み手にもよく伝わってきました。

決して格好の良い人生を歩んでいるわけではないけれど、奨励会での厳しい毎日が生活のどこかで糧になっている事を強く感じます。とにかく著者の感傷が大きすぎるほど大きくて本に収まりきれない気がします、たぶんもっと伝えたい想いがあるのだろうなぁともどかしさすらおぼえたほどです。『聖の青春』(実は未読)をいきなりベストセラーにし、満を持して発売した『将棋の子』では講談社ノンフィクション賞を受賞と、まだまだいろいろな感動を見せてくれそうです。今月上旬には初の恋愛小説の発売も予定されています(『パイロット・フィッシュ』)とにかく楽しみです。
【楽天ブックススタッフ 瑞】


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