| <<前日の日記へ | 翌日の日記へ>> |
| 2001/10/17 |
 |
『建築屍材』
著 者:門前典之 出版社:東京創元社
発行日:2001/09 本体価格:1,900円
|
前回に続いて東京創元社の本が登場していますが、別に深いわけはありません。
この本は、第11回鮎川哲也賞受賞作品です。幸せなことに受賞式の瞬間に立ち会うことが出来ました。(って先日も書きましたね、何度思い出しても感動がやまないくらい興奮してしまったのです)鮎川哲也賞はしばらく受賞作が出なかったので心配していたのですが、今年はようやく。ちょびっと安心しました。
さて、加納朋子さんとか北森鴻さんとか私ごのみの作家を送り出してくれた鮎川哲也賞。今回も本格を強く意識させる建物の見取り図から始まります。それも、この見取り図4枚続きになっていて、1階から4階までが重ねて見えるのです。(もっといい言葉で表現したいんですが、言葉が見つからないので本物を手にとることをお薦めします)どうしてここにこんなエネルギーを割いているのかわからずに読み進めたのですが、最後の最後に目からウロコが落ちました。いやぁ久しぶりに純粋に感動。人が驚くことを想像してほくそ笑みながら線を引く作者の姿が目に見えるようです。
本格の定義は良く知りませんが、密室あり、死体の消失あり、ダイイングメッセージあり、トリックありもちろん名探偵まであり!と、ミステリの必要要件は全て兼ね備えています。だからこその鮎川哲也賞なのだとは思いますけどね。トリックにかける作家の情熱は伝わってきましたが、ため息をつくどころか呑み込んでしまったほどの衝撃はこの犯罪の動機でした。どうしてこんな奇想天外な思いつきが出来たんでしょうか?おぞましさを通り越して怖いくらいです。
話が前後してしまいますが、この話はバブルに踊らされていた時代に建設中のビルで起こった犯罪です。ホームレス狩りを怖れてビルに忍び込んだホームレスが目にしたものは、解体されナンバリングされた死体を目にします。しかし数時間後、その死体はキレイさっぱりと消えてなくなってしまうのです。どこからも人の出入りした気配がないのにも関わらず。この事件を建築に関わった蜘蛛手が近所の青年たちと推理力を駆使して解いていくというストーリーになっています。受賞作だけど“名探偵蜘蛛手シリーズ”と銘打っていきなりのシリーズ展開というのも、同席した書店員仲間の間では話題になりました。蜘蛛手さんが色々な建築現場を巡って事件を解決していくのでしょうか?彼が関わる現場はいつも納期が遅れて大変そうですが、次の活躍を楽しみに待っています。 |
|
【楽天ブックススタッフ 瑞】 |
|