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読書日記 2004年3月31日更新
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2001/1/31
『楽しもう一人料理』

著 者:丸元淑生
出版社:講談社
発行日:1999/07
本体価格:1,800円
ここのところ、昼はホカ弁、夜はコンビニ、という食生活パターンで暮しております。そんな折、北森鴻さんの『花の下にて春死なむ』を読み、本編のストーリーはさておき、香菜里屋のマスターが料理を出してくれる場面に、ほう・・・と羨望の溜息ひとつ。マスターが心を尽くして、気の効いた料理を作る、そして、それを心から味わうお客さんがいる。そんな「豊かな関係」が良かったのですね。料理には栄養を摂取する以上にもたらされるものがあって、そんな関係性も一緒に食んでいたりするのかなと思うのです(いや、ホカ弁にそういうものを求めるな、という気もしますが)。料理は愛情、なんて言うと野暮なんだけれど、美味しいものを作るための「動機」は必要と思っています。翻って、一人で「自分のためだけ」に料理を作る場合、あまりの「動機」のなさに、ついつい手を抜いてしまうもの。時間があってもロクなものを作らない。さて、こんな時、「丸元淑生ならどう言うか」。『本格的なおいしい料理を作る以外に、元来楽しくない一人料理を楽しいものにする術はない』とのこと。ハードでカッコいい丸元淑生さんの世界。『からだにやさしい料理ブック』シリーズの一冊です。

丸元淑生さんは、栄養学の立場から、身体にとってもっとも望ましい料理の作り方を教えてくれる料理研究家です。他の家庭料理本と一線を画した硬派な文体。『野菜には一挙に70℃以上の加熱が加わり、野菜の酵素は瞬間的に破壊されるため酵素による化学変化がおきない』などという表現は、料理なのか実験なのかという感じですが、読書的な興奮すら催してしまう漲る説得力よ。デロンギ社のコンベクションオーブン、ビタクラフト社の5511鍋(ステレンス多層構造、大型フライパン)など、選りすぐりの調理器具をひらめかせ、創り出される、シンプルにして栄養価に富んだ豊かな食の世界。料理を作る「考え方」に、大きな影響を与えられる本ですので、栄養偏ってる、と思う一人暮らしの方も、そうでない方にも、是非、お勧めしたいと思います。

父子家庭育ちの料理修行時代、最初に参考にした料理の本は『おそうざい十二カ月』(暮らしの手帳社)でした。母親の遺してくれたものを、そのまま使っていたのです。先日、この本の新版を書店で見つけ、懐かしさのあまり手にとりました。モノクロの分解写真による解説など、最近のビジュアルでスタイリッシュな料理本とは随分と感じが違うものですね。とはいえ、ここから学んだことは沢山ある。読みながら、拙いなりに料理に挑んでいた頃の「動機」がふと思い出されて、ああ、料理本は「食卓の記憶」のカプセルなんだなあと、しみじみしてしまいました。そして、一人で「自分のためだけ」に料理を作り続ける、ということの難しさを感じたりもするわけです。なんだか。
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